予想できない衝撃的な結末に多くの人が驚いた映画『セブン』。キリスト教で語られる「七つの大罪」に沿って罪を犯す犯人は、自分を選ばれしものだと思い罪を犯し続けます。そしてその罪は自らをさらには驚きの相手にまで及ぶのでした。
『セブン』作品情報
タイトル | セブン(Seven) |
監督 | デヴィッド・フィンチャー |
公開 | 1996年1月27日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間7分 |
Rotten Tomatoes
『セブン』あらすじ
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定年退職間近の刑事サマセットと新人のミルズは、ある殺人現場に向かう。
そこには肥満の大男の凄惨な死体があった。
またほどなくして、今度はビジネスマンの死体が発見される。
サマセットはそれぞれの現場に残されていた文字から、犯人がキリスト教における七つの大罪(傲慢・嫉妬・憤怒・怠惰・強欲・暴食・色欲)に因んだ殺人に及んでいると分析、残るは5件となった。
事件を未然に防ごうと犯人の特定を急ぐ2人。
やがて一人の男が容疑者に浮上、しかし接近するも取り逃がし、さらなる犠牲者を出してしまう。
そんな中、大罪に沿った犯行が残り2件となったところで、犯人を名乗る男が自首して来るのだが…。
(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=28593)
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七つの大罪
『セブン』の物語はキリスト教の教えの中にある「七つの大罪」をもとに話が進みます。
「七つの大罪」とは、人間を罪に導く七つの欲望のことを示します。
[box class=”pink_box” title=””]・大食
・強欲
・怠惰
・憤怒
・高慢
・肉欲
・ねたみ[/box]
犯人は大食・強欲・怠惰と次々とその罪に当てはまる人間を処罰していきます。
途中でサマセット刑事やミルズ刑事に家を見つかってしまいますが、「計画を変更した」と言いながら残りの罪に当てはまる人を処刑します。
そして残り2つになった時に、自ら出所します。
犯人の罠だと分かっていながら、サマセットとミルズ犯人とともに2人の死体のある場所に向かいます。
そしてそれはやはり犯人の罠だったのです。
ねたみの罪を犯したのは自分です。
普通の生活を送っているミルズ刑事の生活を羨ましく思ってしまったことでした。
そしてその自分を処刑させるために、ミルズ刑事に怒りを与えるのです。
憤怒の罪はミルズ刑事の罪だったのです。
文学的要素の詰まった作品
『セブン』はクライム・サスペンス映画ですが、その映画の中はたくさんの文学作品を元にしていました。
犯行の元になった「七つの大罪」。
そのことを調べにサマセット刑事は図書館に向かいます。
そこで取り上げたのが、「カンタベリー物語」。
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完訳 カンタベリー物語〈上〉 (岩波文庫)[/col3] [col3]
完訳 カンタベリー物語〈中〉 (岩波文庫)[/col3] [col3]
完訳 カンタベリー物語〈下〉 (岩波文庫)[/col3] [/colwrap]
さらにダンテの「神曲」。
神曲 文庫版 全3巻完結セット (集英社文庫ヘリテージ)
そして犯人が残したメモはミルトンの「失楽園」からの言葉でした。
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失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)[/col2] [col2]
失楽園 下 (岩波文庫 赤 206-3)[/col2] [/colwrap]
「カンタベリー物語」と「神曲」には七つの大罪をモチーフにした物語が描かれています。
そして「失楽園」では悪魔がアダムとイブを誘惑する物語が描かれます。
悪魔である犯人の男が、ミルズ刑事を誘惑する展開とつながってきます。
サマセット刑事はミルズ刑事を説得しましたが、ミルズ刑事は犯人の誘惑に負けて憤怒の罪を犯してしまったのです。
ミルズ刑事は死にませんでしたが、それに値する罰を追いました。
殺人犯になったこともそうですが、愛する妻とそのお腹の中にいた子供を失うという罰を受けたのです。
まとめ
見終わった後になんとも言えない気持ちになる作品の『セブン』ですが、映画の作品としてはとてもかっこいい作られ方をしていました。
オープニングのかっこよさなどと物語の衝撃で、多くの人の印象に残る作品となりました。
一度見ただけでも衝撃的なのですが、作品に登場する文学作品を読んでからこの映画を見直すとさらに映画の深さが伝わってきます。
結末がわかっていても、サマセットとミルズそして犯人が、ラストシーンの場所に向かう展開はドキドキしてしまいます。
それだけスリリングであり、ショッキングな作品が『セブン』です。