投資番組に乗っ取ったのは番組を信じて大損した若者。全財産をつぎ込んだ男は大損をしてしまいました。彼は恨みを晴らすために番組に乗り込みますが、そのことで真実が暴かれることになるのでした。
『マネーモンスター』作品情報
タイトル | マネーモンスター(Money Monster) |
監督 | ジョディ・フォスター |
公開 | 2016年6月10日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間38分 |
Rotten Tomatoes
『マネーモンスター』あらすじ
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司会者リー・ゲイツの軽快なトークと財テク情報で高視聴率を稼いでいるTV番組「マネーモンスター」。
番組ディレクターであるパティはセットの陰に潜む不審者に気がつく。
突然鳴り響く銃声。犯人が銃を手にリーを人質にとり、番組がジャックされた。
株の情報操作が意図的に行われ、全財産を失くしたとTVを通じて視聴者に訴える犯人。
その原因は、数日前のO.Aでリーが発した情報だった。
犯人の主張の中で、リーは自分自身も誤情報を無自覚にタレ流していたことに気づく。一体何が起きているのか―。
ウォール街の闇に封じ込まれた情報操作を暴くため、リーは人質から”共犯”へと立場を逆転させる。
一方で警察の銃口は彼らに狙いを定めていた。事件の中継を通じて、徐々に見えてくる”真実”。
その核心が暴かれようとしたとき、彼らと全米の視聴者が直面する、知ってはならない「結末」とは―。
(出典:http://www.bd-dvd.sonypictures.jp/moneymonster/)
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投資の落とし穴
投資番組『マネーモンスター』。
この番組の情報を信じて全財産6万ドルを失ってしまった男性は、その怒りから番組をジャックします。
番組の司会者リー・ゲイツは番組内で「銀行に預けるよりも安全」だと言っていました。
しかしその会社は株価の暴落により一晩で8億ドルも損してしまったのでした。
会社の発表は「プログラムのバグによるもの」というだけです。
それを信じることのできない若者は、答えを求めて番組を乗っ取ったのでした。
6万ドルと聞いたリーは「たった」と答えますが、若者にとっては大金なのです。
時給14ドルで働く青年、妊娠した彼女との未来は明るいものではありませんでした。
そんな彼が投資したのがリーの紹介した会社だったのです。
確かに投資したのは青年ですし自己責任でもあるのですが、これが金融危機が巻き起こす実態でもあります。
さらにその説明が「バグ」でかたずけられてしまえば納得いかないのも理解できます。
青年がやっていることは確かに犯罪ですが、なぜだか青年を悪者として捉えることはできません。
物語が進むにつれてどんどん青年に共感してしまいました。
生中継の臨場感
生放送の投資番組『マネーモンスター』が青年によってジャックされ、そのまま放送され続けます。
番組内で起こっていることがリアルに流れているのです。
最初は興味本位で見ていたテレビの前の人も、次第に番組に釘付けになっいきます。
単なる立てこもり事件かと思っていたら、その裏に隠されていた青年の人生。
軽い気持ちで他人の人生を除いていた観客も、次第に彼に共感し始めていました。
だからリーが観客に株を買おうと呼びかけても誰も答えないのです。
観客はお金持ちのリーよりも、犯人の青年の生活の方に近いからです。
面白おかしく番組で司会を担当していたリーには、きっとこの時始めて青年達のような人の人生に気が付いたのかもしれません。
だからリーもまた青年のために真実を暴こうとしたのです。
そのやりとりや緊張感が現実に起きている事件のように伝わってくるので、映画の中でテレビを見ている観客と同じ気持ちになります。
この先何が起こるのか分からない緊張感。
そして青年に共感していく気持ち。
全てが映画の中の出来事ではないように感じることができます。
暴かれた真実
「プログラムのバグによるもの」と説明された株の暴落。
しかしアルゴリズムの設計者の説明だと、1日で8億ドルも損するようなプログラムにはなっていないのです。
誰か人の操作によらないと起きないことだったのです。
次第に暴かれていく真実。
1日で8億ドルも失った真実は会社の経営者によるものでした。
経営者はアルゴリズムのお金を南アフリカのプラチナ鉱山に投資していたのです。
賄賂により鉱山のストを起こさせ株価を下落させます。
その時に株を買い、ストが終わって株価が上昇した時に売る計画だったのです。
しかし、ストを終わらせる計画が失敗したのでした。
彼の賄賂に動かない人物が現れ、ストが終わらなかったのでした。
そのために鉱山の株価は暴落し、8億ドルを損してしまったのでした。
全ての真実がわかった時、青年が望んだのは「悪かった」と認めることでした。
この言葉を得た時、青年は覚悟を決めました。
最後はテレビを見ていた観客と同じように、なんとも言えない感覚が芽生えます。
これが高速取引のリスクでもあるのです。
高速取引により一瞬で人生を変えてしまうことになるのです。
全てが終わった時、恐怖と言い表せない感情が心に残ります。
まとめ
株の高速取引によりリスクと生放送という二つの要素の面白さで、観客を魅了するのが『マネーモンスター』です。
生放送で事件を放送しているという緊張感がリアルに伝わってくるのと同時に、株式投資の怖さも感じます。
緊張と恐怖で最初から最後までドキドキしながら、息つく暇なく物語は進みます。
そして真実が分かった時に起こる現実。
それを見ると言葉にならない気持ちが生まれるはずです。