のちにカルト映画の1つとなったスピルバーグ監督のTV映画『激突!』。それから4年後に公開された2本目の長編映画となる『ジョーズ』。トラックとサメと一見またっく違う作品のように見えますが、実はこの2本の作品にはある共通点があったのです。
『激突!』作品情報
タイトル | 激突!(Duel) |
監督 | スティーヴン・スピルバーグ |
公開 | 1971年11月13日(アメリカ)1973年1月13日(日本) |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間30分 |
アメリカのTV映画として製作された映画『激突!』は、海外では限定的に劇場公開されていました。
その後1983年スピルバーグが名実ともに世界的に有名監督になると、アメリカでも劇場公開されるようになりました。
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『ジョーズ』作品情報
タイトル | ジョーズ(Jaws) |
監督 | スティーヴン・スピルバーグ |
公開 | 1975年12月6日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間4分 |
[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]・作曲賞
・録音賞
・編集賞[/box]
1975年6月に公開されると空前の大ヒット映画となり、当時の興行記録を塗り替えます。
そしてアメリカ映画史上初めて興行収入が1億ドルを超える作品となりました。
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『激突!』と『ジョーズ』の共通点
モンスター映画
トラックが人間を襲う『激突!』ですが、スピルバーグ監督はこのトラックを怪物(モンスター)と考えて『激突!』を製作しました。
ホラー作家のスティーブン・キングは『激突!』に登場するトラックについて「巨大なタイヤや薄汚れたフロントガラスや錆びついたバンパーが、だんだんモンスターのように見えてくる」と言っています。
その表現はまさしくその通りで、ミラー越しに写るタンクローリーのライトは怪物の目のように見えて、凄いスピードで追いかけてくるトラックはドライバーが見えないせいで、生きているように感じてしまうほどでした。
この怪物映画がのちにスピルバーグ監督が作る『ジョーズ』のサメの原点にもなっています。
『ジョーズ』の原作を読んだ彼は、すぐに『激突!』と似ていると感じ映画化を望みます。
彼にとってはどちらも「普通の人間を襲う怪物の話」で、『ジョーズ』は舞台を陸から海に変えた続編でもあったのです。
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死の舞踏: 恐怖についての10章 (ちくま文庫)
オープニング
映画『激突!』の冒頭は真っ暗な画面から始まります。
真っ暗な画面のなかに聞こえるドアを閉める音とエンジンをかける音。
そしてゆっくりと車が発進することで、観客はそれがガレージの中のシーンだったことが分かります。
物語はしばらくそのまま続き、観客は車のドライバー視点の映像を見ることになります。
それに対して『ジョーズ』のオープニングも真っ暗な画面から始まり、あの有名なジョーズのテーマが流れ、黒い画面にスタッフのクレジットが流れます。
そしてその後、海の中のシーンに変わりますがその視点はサメの視点になっていました。
エンディング
『激突!』のラストシーンではタンクローリーが崖から落ちて終わりますが、この時スピルバーグ監督はこのシーンに恐竜映画からとった恐竜のうなり声を入れています。
それは監督がトラックを恐竜に見立てていたからです。
スピルバーグ監督はそれと同じことを『ジョーズ』でもやっていて、サメが海底に沈んでいくシーンで恐竜の声を入れているのです。
それは『激突!』と『ジョーズ』が近い関係にあることを示すためでもありました。
『ジョーズ』のラストシーンは、原作者であり脚本家でもあるピーター・ベンチリーが望むシーンとは違っていました。
原作ではサメはモリとタルの攻撃に耐えきれなくなって海底に沈んで行きますが、スピルバーグは怪物らしい死に方表現するためにタンクの爆発による死を描きました。
そしてそこに恐竜のうなり声を足して、感動的なエンディングを作り上げたのでした。
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シネマの天才 スティーブン・スピルバーグ
まとめ
スピルバーグ監督の映画『激突!』と『ジョーズ』は、どちらも怪物が普通の人間を襲うという物語になっていて、それは監督自身が意図したことでもありました。
『激突!』ではトラックを『ジョーズ』ではサメをモンスターとして描き、襲われる人間の恐怖を描き出しています。
監督自身が続編のつもりで作ったという『激突!』と『ジョーズ』。
2本続けてみるとその共通点を感じることができるのではないでしょうか。