クリント・イーストウッドが監督・主演を務めた映画『ミリオンダラー・ベイビー』。女性ボクサーとトレーナーのスポーツ映画かと思いきや、ラストにおける展開はアメリカで大論争を巻き起こしました。この映画のラストは心に重くのしかかります。
『ミリオンダラー・ベイビー』作品情報
タイトル | ミリオンダラー・ベイビー(Million Dollar Baby) |
監督 | クリント・イーストウッド |
公開 | 2005年5月28日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間12分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
大論争のラスト
『ミリオンダラー・ベイビー』は公開されるとすぐに、大論争となりました。
それはもちろんラストの展開です。
トレーナーであるダンがボクサーのマギーに取った行動。
それは大きな波紋をよびました。
障害者団体やキリスト教団体は映画館の前で抗議運動、ボイコット運動を行ったくらいです。
それほど大きな問題となったラスト。
それは人間の尊厳について描かれていました。
ボクシングのスポーツ映画かと思って見ていると、後半の展開に驚かされます。
映画を観終わった後に観客が受けた衝撃は、とても大きなものでした。
こんな終わり方になるとは多くの人が思っていなかったと思います。
それでもあえてこの終わり方を選んだクリント・イーストウッド。
この映画に彼が何を込めようとしていたのでしょうか?
賛否両論のある終わり方。
正解は何からこそ、クリント・イーストウッドは私たちに尊厳について問いかけていたのかもしれません。
ただし、『ミリオンダラー・ベイビー』はアカデミー賞作品賞を受賞しています。
その他にも監督賞・主演女優賞・助演男優賞を受賞しました。
映画としては評価された作品なのです。
この映画が私たちに与えたメッセージは大きなものがありました。
トレーナーのダンが背負ったもの
主人公の年老いたトレーナーのダン。
彼が最後にマギーに対して行った行動。
正しいかどうかは分かりませんが、彼は自分のとった行動を一生背負っていくことでしょう。
23年間毎日協会に通っていたダン。
嫌な質問を神父にしていましたが、彼が協会に通い続けていたことは事実です。
そしてまた彼が学んでいたゲール語。
マギーのガウンに刺繍されていた言葉「モ・クシュラ」。
その意味をダンは「愛する人よ、お前は私の血」と伝えました。
彼女を全てを受け入れ、彼女とともに生きていくことを決めたダン。
だからこそ、マギーを安らかに眠らせてあげたのだと思います。
そして自分が行った大罪を彼はこの先もずっと1人で抱えて生きていくのです。
それを覚悟したダン。
ダンの友人エディが「心の安らぎを見つけてくれたらと思うが、それは甘い願望だろう」と手紙に書いたように、きっとダンには心の安らぎはないでしょう。
ずっと十字架を背負って生きていくのです。
まとめ
大論争を生んだ作品『ミリオンダラー・ベイビー』。
観終わった後に、なんとも言えない気持ちになってしまう映画です。
表現しようのない感情が生まれるでしょう。
賛否両論、好き嫌いのはっきり分かれる映画です。
観るには覚悟が必要な映画と言えるかもしれません。