12歳の少年オスカーの前に現れた謎の少女エリ。彼女は自分のことを「女の子じゃないもん」とオスカーに伝えます。それでもオスカーはエリに恋心を抱くようになりました。家にも学校にも居場所のないオスカーにとって、エリだけが唯一の心のよりどころでもあったのです。孤独のオスカーとエリ。2人の恋物語が『ぼくのエリ 200歳の少女』です。
『ぼくのエリ 200歳の少女』作品情報
タイトル | ぼくのエリ 200歳の少女(Låt den rätte komma in) |
監督 | トーマス・アルフレッドソン |
公開 | 2010年7月10日 |
製作国 | スウェーデン |
時間 | 1時間54分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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ストックホルム郊外の小さな町。
集合住宅に母親と2人で暮らす12歳の少年オスカー。
同級生のイジメに苦しみながらも、誰にも助けを求めることが出来ず、ただ復讐を夢想してはじっと堪え忍ぶ日々。
そんなある晩、彼はひとりの謎めいた少女と出会う。
彼女は、オスカーの家の隣に父親と引越してきたばかりの少女エリ。
やがて、同じ12歳だという彼女と毎晩のように言葉を交わすようになり、自分よりも大人びた彼女に次第に心惹かれていくオスカー。
その頃、町ではおぞましい殺人事件をはじめ奇妙な出来事が立て続けに起こり、住民の間に不安が広がっていた。
そんな中、エリが少女の姿のまま200年も生きているヴァンパイアだという衝撃の事実を知ってしまうオスカーだったが…。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/335935)
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居場所のないオスカー
孤独な少年オスカーの前に現れたエリという少女。
雪の降る中薄着だったり、少し変わった雰囲気の女の子でした。
しかしオスカーにとってエリだけが、自分ときちんと向き合ってくれる存在でした。
オスカーは学校でいじめられていますが、それを母親にいうことができません。
オスカーは母親と2人暮らしでしたが、オスカーは母親が自分のことを邪魔だと思っているように感じていました。
いじめっ子を殴ったオスカーに対して、何も聞かずに怒る一方です。
一方、たまに会う父親はオスカーに優しく接してくれますが、それも少しの間だけです。
父親の友人が家に来るとお酒を飲み、オスカーのことをほったらかしにします。
オスカーにとっては家族といる時間も孤独だったのです。
だから家の前で出会った謎の少女エリにオスカーは惹かれます。
彼女の正体が何であれ彼女がどんな秘密を抱えていても、エリと一緒にいたいと感じていたのでした。
秘密を抱えたエリ
オスカーの隣に引っ越して来たエリ。
オスカーに年齢を聞かれると「だいたい12歳」と不思議な答えを返します。
しかも彼女は自分の誕生日も知りません。
オスカーにとっては謎だらけの少女がエリでした。
オスカーが居場所がなかったように、エリも孤独な少女でした。
次第に2人が距離を縮めていきます。
そしてエリはオスカーに自分の正体を見せます。
彼女はヴァンパイアでした。
自分の正体を知ったオスカーにエリは「私を受け入れて」とお願いします。
孤独なエリにとってそれは心からの叫びでした。
しかし実はエリにはもう1つ重大な秘密がありました。
オスカーがエリに「付き合ってほしい」と言った時、エリは「女の子じゃないもん」と答えます。
それがある意味エリのもう1つの秘密を示していました。
確かにヴァンパイアとして長年生きている彼女は「女の子」ではないでしょう。
しかし彼女の言った言葉には、言葉通りの意味も含まれていました。
オスカーは最初その言葉の本当の意味に気がつきません。
しかしエリが着替えている場面を見て、オスカーはエリの抱えるもう1つの秘密に気がつきました。
それでもオスカーはそのことをエリには告げません。
それはオスカーが彼女を受け入れたからかもしれません。
エリに恋する12歳の少年。
12歳の少年にとっては抱えられないほどの秘密をエリは2つも持っていましたが、それでもオスカーはエリを受け入れました。
エリもまたそな自分を受け入れて欲しかったのでしょう。
まとめ
12歳の少年の切ない恋心を描いた映画『ぼくのエリ 200歳の少女』。
居場所のない少年と、自分を受け入れてほしいヴァンパイアの恋物語です。
2人の心の中にある孤独や寂しさが、オスカーとエリを結びつけました。
そしてそんな2人の恋愛は切なくて痛くて、冬のスウェーデンの景色とマッチしていました。