映画『スプライス』新しい生命体を育てることは親になる疑似体験だった


色んな生物のDNAの結合を成功させ新種を作り出した科学者の男女。彼らは新種に人間のDNAまで結合させてしまいます。そして新しく生まれた人間のDNAを持つ新種。2人はいつしか新種の父と母になっていました。子供を持ちたかった男性と母になりたくなった女性は、新種の親にったことで色んな経験をすることになっていくのです。

『スプライス』作品情報


スプライス [DVD]

タイトル スプライス (Splice)
監督 ヴィンチェンゾ・ナタリ
公開 2011年1月8日
製作国 カナダ/フランス
時間 1時間44分

Rotten Tomatoes

あらすじ

(引用:MIHOシネマ

科学者のカップル

DNAの結合実験を行っている科学者のクライヴとエルサ。
2人は優秀な科学者であると同時に長年付き合っているカップルでもありました。

同棲していて家でも職場でも一緒にいる2人。
クライヴの方はエルサとの間に子供が欲しいと思うようになっていました。

しかし仕事に情熱を持っているエルサは子供が欲しくありません。
子供を欲しがるクライヴの願いをいつも断っていました。

そんな2人でしたがエルサが新種にDNAを結合したことで、人間と新種の結合体を育てることになってしまいます。
実験のためのはずの結合体でしたが、いつしか2人は子供を育てるような気持ちになっていきます。
ドレンと名付けて彼女に愛情を注ぐエルサ。
その姿はすっかり子供を持った母親のようでした。

一方突然の出来事になかなかドレンを受けいることができないクライヴ。
エルサとドレンの関係を不安に思いながら眺めるだけの日々を過ごしていきます。

しかしドレンの成長は人間の子供よりもかなり速いスピードです。
どんどん成長するドレンに対するエルサとクライヴの関係も次第に変わっていきます。

2人はまるで本当に子育てをしているようでした。

反抗期のドレンに対する接し方も2人それぞれ違います。
あれだけ仲の良かったエルサとドレンも母と娘の関係ではなく、女性同士の関係になっていきます。

一方でクライヴは父と娘の関係のようになりますが、それも次第に男性と女性のような関係になってしまいます。

ドレンの成長を描きながら、実はエルサとクライヴの子育てのような物語でもありました。

母との葛藤

子供が欲しくなかったエルサ。
それは仕事に熱中したいという理由もありますが、実は彼女と母親の関係が理由でもありました。

長年付き合っているクライヴに母親の話をしたことないエルサ。
それは彼女と母親の関係が悪かったからです。

エルサは母親のことを聞くクライヴに「狂気」と説明します。
エルサの母親は彼女に何も与えてくれませんでした。

エルサが子供の頃に住んでいた農場のエルサの部屋には、マットレス以外何もありません。

それが幼い頃のエルサの現状でした。

エルサはそんな自分の母親のようにはなりたくないということもあって、親になることを拒んだのかもしれません。

でもドレンが誕生するとエルサはたくさんの愛情を注ぎます。
それはエルサが持っている母親と写る写真のように仲の良い関係でした。

しかしやがて2人の関係は崩れていきます。
気がつけばエルサもまた母のようにドレンの望むものを奪ってしまっていました。

あれだけ嫌っていた母のようになっていたのです。

母親になって初めて分かる母の気持ち。
自分が経験してきた娘としての気持ち。

母と娘、両方の気持ちがわかるエルサの葛藤が始まったのです。

それでも最後エルサは母親のなることを選びます。
そして同時に科学者としての道も歩き続けることを選択したのでした。

まとめ

新種と人間のDNAを結合して生まれたドレン。

ドレンの成長を描くことで、親になったクライヴとエルサの姿を見ることができました。

そしてエルサの中にある自分と母親の関係が、そのままエルサのドレンの関係にもなっていました。

映画『スプライス』はSF映画でありながら、親になることについて描いた映画でもあったのです。