映画『フルメタル・ジャケット』人間から兵器に生まれ変わった若き海兵隊員


ベトナム戦争真っ只中のアメリカで海兵隊員に志願した1人の若者。訓練学校には鬼軍曹がいて若き兵士達を兵器として育て上げます。そして彼らは兵器となり戦地に向かいました。死ぬために鍛え上げられた海兵隊員は、戦地で殺しの顔をしながら兵器としての任務を果たしたのです。それは相手が女性であっても子供であっても容赦しません。なぜなら彼らは兵器だからです。

『フルメタル・ジャケット』 作品情報


フルメタル・ジャケット [Blu-ray]

タイトル フルメタル・ジャケット(Full Metal Jacket)
監督 スタンリー・キューブリック
公開 1988年3月19日
製作国 アメリカ/イギリス
時間 1時間56分

Rotten Tomatoes

あらすじ

(引用:MIHOシネマ

兵器に生まれ変わった若者達

ベトナム戦争時、海兵隊員になるために訓練学校に入学した若者達。
そこにはハートマンという鬼軍曹がいました。

彼は若者達を「地球で最下等の生命体」と言いウジ虫と呼びます。
若き訓練生に「お前達は人間ではない」と叩き込んだのです。

そして厳しい訓練に生き残れたら「兵器となる」と伝えました。

彼らが入学した海兵隊員訓練校は、兵器養成所だったのです。

そこで彼らは毎日のように罵られしごかれながら兵器へと生まれ変わります。
戦場で生き残るための殺戮本能を目覚まさせたのでした。

そんな中ハートマンに徹底的にしごかれ、さらには仲間達からいじめられたレナードは、憎しみに心を染めていきます。

卒業時の彼の顔はまさに兵器でした。
しかし彼の敵は北ベトナム軍ではありません。

彼にとっての敵は自分を罵り馬鹿にし続けたハートマン軍曹でした。
兵器となったレナードは生き残るために殺戮本能で、軍曹に銃を向けたのです。

一方、レナードに色んなことを教えたジョーカーも兵器として生まれ変わりつつありました。
手取り足取りレナードをサポートしていたはずのジョーカーは、仲間と一緒になり彼をいじめました。

ただしこの時彼はまだ葛藤していました。
レナードの泣き声に耐えられない様子はまだ完全な兵器とはなっていなかったのです。

しかし彼が学校を卒業しベトナムに向かった時、すでに彼は兵器となっていました。

退屈な報道部での仕事に耐えられず、戦闘や銃声が恋しくなります。
さらに敵が急に攻撃してきても、「心の準備が出来てない」と言いながらも機関銃を撃ちまくります。

彼は見事に訓練された兵器になっていたのです。
そしてそれはラストの狙撃兵を撃つシーンでも分かります。

仲間を失い女性狙撃性に銃を向けても、彼は自分が無事に生き残ったことに幸福感を感じていました。

どんなに地獄にいても自分は生きている、ジョーカーはそのことに満足していました。

殺戮本能を研ぎ澄まして生き残ったジョーカー。
彼は立派な兵器となっていたのです。

テト攻勢

ジョーカーがダナンの海兵隊基地で受けた北ベトナム軍による攻勢。

それはテト攻勢と呼ばれ、実際にあった攻撃です。
ベトナムの旧正月を意味する「テト」。
その日は休戦となると考えられていたのです。

しかし実際は違いました。
北ベトナム軍と南ベトナム解放民族戦線はその日に向け準備を進め、1968年1月30日一斉に攻撃を仕掛けてきたのです。

この奇襲攻撃でサイゴンやフエは大きなダメージを受けます。
映画の中でも「サイゴンではアメリカ大使館に敵の部隊が突入した」、「敵はフエ市に侵攻し川の南全域が占領された」と言っています。

ジョーカーはその後フエに向かいますが、ここで北ベトナム軍に殺されてしまった住民を見ることになります。

これも実際に起きた出来事で映画の中でも説明されている通り、北ベトナム軍は南側の役人達のリストを持っていて彼らを処刑しました。

それは南側の住人に自分たちの恐怖を受けつけるためでした。

このテト攻勢の映像はアメリカで連日ニュースで流されました。
映画の中でもインタビューしているシーンが映し出されます。

しかしこの映像がアメリカ国民の反戦運動を高めることになってしまったのです。

そしてこのテト攻勢以降、アメリカはベトナムから撤退する方向に舵を切ることになったのです。

まとめ

海兵隊員の訓練で兵器として生まれ変わった兵士たち。

彼らはベトナムの地で兵器として殺戮を続けました。

それが結果ベトナム戦争の終結に向かうことになるのですが、兵器となってしまった彼らは人間に戻ることが不可能なのです。

そんな人間を兵器にしてしまう戦争の悲惨さを描いていたのが、映画「フルメタル・ジャケット」でした。