映画『マ・レイニーのブラックボトム』ブルースで歌い継がれる黒人の人生


1920年代に活躍したブルースの母と呼ばれたマ・レイニー。彼女とバックバンドのレコーディング風景を描いたのが映画『マ・レイニーのブラックボトム』です。黒人文化の1つであるブルースに込められた彼らの叫びや怒りを感じるとともに、当時の彼らの心の奥を感じ取ることができる作品になっています。

『マ・レイニーのブラックボトム』作品情報

タイトル マ・レイニーのブラックボトム(Ma Rainey’s Black Bottom)
監督 ジョージ・C・ウルフ
公開 2020年12月18日
製作国 アメリカ
時間 1時間34分

Rotten Tomatoes

あらすじ

1927年、シカゴ。

“ブルースの母”の異名を持つ名シンガー、マ・レイニー  のレコーディングが始まろうとしていた。

だが、野心に燃えるトランペット奏者 や主導権を握ろうとする白人のマネジメント陣を巻き込み、スタジオには衝突の火種がくすぶり始める。

(出典:https://www.youtube.com/watch?v=fRPCYyD-RUo)

マ・レイニー

ブルースの母と呼ばれるマ・レイニーは、主に1920年代に活躍した歌手です。
映画の中でも彼女自身が言っているようにマ・レイニーがブルースを作ったわけではありませんでしたが、ブルース歌手として活躍した初期の頃の女性で彼女自身も「ブルースの母」と呼ばれることを受け入れていたようです。

『マ・レイニーのブラックボトム』の中では、黒人差別が酷い時代にもかかわらず白人のマネージャにも、レコード会社の人にも屈しないマ・レイニーの姿が描かれています。

しかしそれは、白人に対するだけでなく黒人のバンドメンバーに対しても同じです。
彼女は自分は誰にも媚びずに自分の地位を確立し、それを守り続けていたのです。

だから自分の歌を誰にもアレンジさせなかったのです。
一見わがままのようにも映りますが、それが彼女の意志の現れなのです。

彼女は音楽関係者がどれだけ自分のことをチヤホヤしても、裏ではなんと言っているか理解しています。
彼らが欲しいのはマ・レイニーの歌声だけで、自分のことを見下しているのも知っていました。
だからこそ、絶対に彼女は自分の意志を貫き続けたのです。
それが彼女なりの差別との戦いでした。

白人に媚びを売らず、決して屈せず自分を突き通す。
そうすることで自分や家族や仲間を守っていたのです。
それが彼女の歌声となり多くの人の心に響き渡り「ブルースの母」と呼ばれるようになったのです

ちなみに映画の中に名前だけ登場するベッシー・スミス。
彼女もマ・レイニーと同じ頃に活躍したブルース歌手で、彼女は「ブルースの女帝」と呼ばれていました。

映画の中ではマ・レイニーがベッシー・スミスに歌を教えたというセリフがありましたが、これには諸説あるようです。

ブルース

ブルースの母マ・レイニー。
ブルースとは黒人カルチャーの中から生み出された音楽です。

アメリカ南部の黒人たちが綿花畑で働きながら歌った歌や教会などで歌われていた歌が、ブルースの発祥と言われています。
音楽史的には1903年がブルースの誕生となっています。

そして1920年代にブルースのレコーディングが行われ、マ・レイニーはその頃にレコーディングした歌手の1人なのです。

マ・レイニーは「白人には成り立ちを知らないからブルースは理解できない。」と言います。
それはブルースは奴隷として働く黒人の生活の中から生まれたからです。
だから彼女はブルースは楽しむものではなく、人生を語るものだというのです。

一方、自分のバンドを作りたいと思っていたレヴィーも、心のそこには差別に対する怒りがありましたが、それをマ・レイニーとは違う形で表現していました。
彼は白人に自分の実力を求めてもらうために、心の中の怒りに蓋をしてしまいます。

そして自分の人生を楽しむために、夢を持ち続けます。
しかし現実は厳しく、やっとのことで開いた扉の向こうには壁に囲まれた狭い部屋しかなく外には出られませんでした。

しかも高価な靴を買いモチベーションが上がりますが、それはすぐにズタズタにされてしまいました。
彼の作った音楽は白人に盗用されてしまいます。
彼の靴は踏まれてしまったのでした。

実際に黒人音楽は白人に盗用されていきます。
しかしマ・レイニーの言ったように、黒人と白人のブルースは「音楽」の意味が違います。

彼らの居場所でもあり生活せあり人生だったブルースでさえも、白人が奪ってしまったのです。


Ma Rainey’s Black Bottom

まとめ

ブルースという音楽ジャンルに込められた黒人の想い。

この『マ・レイニーのブラックボトム』を見ると、ブルースという音楽の本当の意味を知ることができます。

さらにこの当時彼らがどんな生活を送っていたのか、彼らは心の中で何を想い生きていたのか、そんな黒人の心の叫びを知ることができる映画です。