映画『ババドック 暗闇の魔物』シングルマザーに取り付いた怪物 それは現実だった


産気づき病院に向かう途中で交通事故にあい、夫を亡くしてしまったアメリア。息子サミュエルは無事に産まれますが、彼女はどうしても亡くなった夫のことを忘れることが出来ません。女手一つでサミュエルを育てるアメリアでしたが、手に負えなくなっているサミュエルとの生活に疲れ、ますます夫がいない寂しさを感じるようになっていたのでした。

『ババドック 暗闇の魔物』作品情報


ババドック 暗闇の魔物 [DVD]

タイトル ババドック 暗闇の魔物(The Babadook)
監督 ジェニファー・ケント
公開 2015年10月3日
製作国 オーストラリア
時間 1時間34分

Rotten Tom

あらすじ

夫を事故で亡くしたシングルマザーのアメリアは、学校で問題ばかり起こす息子サミュエルの扱いに悩まされていた。

ある晩、サミュエルがアメリアの知らない絵本を持ってきて呼んでほしいとせがむ。

それは「ミスター・ババドック」というタイトルの不気味な絵本で、物語は途中で終わっていた。

サミュエルが異様に怖がったことから絵本を破り捨てるアメリアだったが、捨てたはずの絵本がいつの間にか戻ってきてしまう。

それ以来、彼女の周囲で不可解な出来事が次々と起きるようになり……。

(出典:https://eiga.com/movie/82757/)

ババドックとは?

サミュエルが見つけた絵本「ミスター・ババドック」。
「名前と姿を知ったものはその姿から逃げられない」という一文で、その絵本は始まります。

何とも不気味な絵本「ミスター・ババドック」は、「本当の姿を知ったら欲してやまなくなる。死を」と書いてある不気味な本でした。

そして「ミスター・ババドック」を読んだその日から、サミュエルにもアメリアにも不可解なことが起こり始めます。

怖がりのサミュエルはババドックに怯え始めますが、ババドックはサミュエルよりも母親のアメリアを苦しめるようになります。

アメリアにとってババドックとは?
それはきっと亡くなってしまった夫のことでしょう。

彼女はずっと夫のことが忘れられずに7年近く過ごしていました。
夫の命日と息子の誕生日は同じ日ですが、アメリアは一度もその日にサミュエルの誕生日を祝うことはありません。
なぜなら彼女は夫を思い出してしまうからです。

忘れたいけど忘れたくない夫の存在。
アメリアは夫の死とどうやって向き合って良いかわからなかったのです。
しかも7歳になるサミュエルのやんちゃっぷりに、最近はてこずる毎日です。

ほとんで眠れず息子をどうしたら良いのか分からず、1人悩む毎日です。
妹は相手にしてくれず、アメリアは孤独を感じていました。

そんなアメリアの心に入り込んできたのが、ババドックです。
やがて彼女は絵本の通り「死」を望むようになります。

それはアメリアの心の奥にあった闇です。
どこかで夫のいる世界に行きたいと思っていたのです。
そして楽になりたいと考えていたのです。

シングルマザーで子育てに疲れ生活も苦しいアメリア。
彼女が厳しい現実から逃げたくなり、夫のいる世界に行こうとした物語が『ババドック 暗闇の魔物』だったのす。

地下室にいるババドック

ババドックを自分の中に入れてしまったアメリアでしたが、息子サミュエル の愛情で何とかババドックを追い出すことに成功しました。

心身ともにすでにボロボロでしたが、それでも彼女は母親の強さを取り戻し、ババドックに勝ちました。

「私は負けない」と言いババドックを追いやったアメリア。
負けたババドックは彼女の家の地下室で暮らすようになります。

元々アメリアの家の地下室は、アメリアの夫の遺品がしまわれていた部屋で鍵がかかっていました。
そこにババドックが逃げ込み、アメリアその部屋に向かいババドックに餌を与えるようになりました。

夫の思い出は詰まったその部屋に向かうようになったアメリア。
彼女は夫の死を受け入れ、その向き合い方を見つけたのです。

夫の思い出は地下室に閉じ込めたけど、鍵をかけるのではなくたまに地下室で夫の思いだすことにしました。

そしていつかサミュエルが大きくなったら、父親のことを彼に話してあげようと決めたのです。

『ババドック 暗闇の魔物』のラストに描かれていたのは、夫の死を受け入れたアメリアの新たな生活だったのです。

まとめ

夫を亡くし子育てに悩むシングルマザーが壊れていく様子を描いた映画『ババドック 暗闇の魔物』。

アメリアを襲ったババドックは、けして妄想ではなくアメリアの生活にあった現実の恐怖なのです。

誰も助けてくれない辛い子育てや、夫を忘れられない傷ついた心。

それはアメリアにとっては現実で妄想ではありません。

でもそんな恐怖にアメリアは息子と共に勝つことが出来たのです。

息子のひたむきな愛情が、壊れつつあった母親を救ったのでした。