『オズの魔法使い』で大スターとなったジュディ・ガーランド。しかしそれは彼女の辛い人生の始まりでもありました。ショービジネス界の大人たちに人生を狂わされてしまったジュディ。そんな彼女が最後まで観客との繋がりを求めた生き様が『ジュディ 虹の彼方に』で描かれています。
『ジュディ 虹の彼方に』作品情報
タイトル | ジュディ 虹の彼方に(Judy) |
監督 | ルパート・グールド |
公開 | 2020年3月6日 |
製作国 | アメリカ/イギリス |
時間 | 1時間58分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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1968年。
かつてミュージカル映画の大スターとしてハリウッドに君臨したジュディは、度重なる遅刻や無断欠勤によって映画出演のオファーが途絶え、巡業ショーで生計を立てる日々を送っていた。
住む家もなく借金も膨らむばかりの彼女は、幼い娘や息子との幸せな生活のため、起死回生をかけてロンドン公演へと旅立つ。
(出典:https://eiga.com/movie/89007/)
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[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]・主演女優賞:レネー・ゼルウィガー[/box]
ジュディ・ガーランド
『オズの魔法使い』でハリウッドスターとなったジュディ・ガーランド。
歌のうまさだけでなく親しみやすさから、多くの人に愛される女優となりました。
彼女はその頃から激しいダイエットやきつい労働条件により薬を飲むようになっていました。
しかも薬を与えていたのは周りの大人たちでした。
それでもみんなからの歓声を浴びることで観客との繋がりを感じていたジュディは、薬を飲みながら必死で仕事をこなしていました。
しかしこれが彼女の人生を狂わせてしまうことになります。
幼い頃からの薬漬けにより眠れない日々を過ごし、精神的に壊れてしまったジュディはいつしか仕事に遅れたりするようになり、ハリウッドで仕事を失ってしまったのです。
この頃はさらにアルコールにも溺れていました。
なんども結婚を繰り返していたのは、彼女の心の奥にある孤独を埋めるためだったのかもしれません。
『ジュディ』の中に登場したローナとジョーイの二人の子供は3番目の夫シドニー・ラフトとの子供でした。
シドニー・ラフトはハリウッドでのジュディの復帰を望み、『スタア誕生』を製作し見事にジュディを復活さてた夫でもありました。
しかし『スタア誕生』の最中もジュディは遅刻したり休んだりで順調に撮影は進みませんでした。
アカデミー賞主演女優賞にノミネートされましたが、『スタア誕生』の後もジュディの中毒はますます進んでしまい最終的にシドとは別れてしまっています。
ちなみにもう1人の娘ライザ・ミネリは2番目の夫ヴィンセント・ミネリとの子供です。
薬物やアルコールに溺れてしまいさらには自殺未遂を繰り返したジュディは、ハリウッドでの仕事を失ってしまいその日暮らしのような生活を送っていました。
そんな彼女の最後の公演となってしまったロンドン公園。
再起をかけて臨んだ彼女のツアーを描いたのが『ジュディ 虹の彼方に』なのです。
虹の彼方に
『オズの魔法使い』で歌った「虹の彼方に」。
この曲で彼女はスターになりました。
ジュディはこの歌のように「虹の彼方の世界」を望んでいたのかもしれません。
空が青くて幸せな鳥が飛ぶ世界、ジュディはそんな世界を最後まで求めていました。
そしてそれはジュディにとってはステージの上だったのかもしれません。
ボロボロになりながらも歌い続けたジュディ。
それきっとステージの上だけが、唯一の彼女の幸せな場所だったからです。
孤独を感じ寂しさの中で生きてきたジュディにとって、ステージの上は観客と繋がれる唯一の場所だったのです。
『ジュディ 虹の彼方に』の中でも描かれていますが、彼女はゲイの人たちにとってのシンボルでもありました。
当時のゲイの人たちもまたジュディのように「虹の彼方」を求めていて、ジュディの歌う「虹の彼方に」に自分たちを重ねていました。
現在LGBTQのシンボルであるレインボーフラッグは「虹の彼方に」が元になっています。
ハリウッドや業界ではたくさん叩かれたジュディ。
しかし彼女を愛したファンは世界中にたくさんいたのです。
映画のラストで彼女は「私のことを忘れないで。約束よ。」と言います。
『ジュディ 虹の彼方に』を見た人たち、そして世界中のジュディファンは決して彼女のことを忘れないでしょう。
1968年に行われたロンドン公演の半年後、1969年6月22日ジュディは47歳でその生涯に幕を降ろしました。
眠れない日々を送り続けた彼女は、やっとゆっくり眠れる日々を迎えました。
今でも『オズの魔法使い』は世界中で愛されている名作で、『虹の彼方に』は多くの人に希望を与える歌です。
ジュディはいつまでも多くのファンの心の中に生き続けているのです。
まとめ
ハリウッドスターだったジュディ・ガーランドの人生を描いた『ジュディ 虹の彼方に』。
壮絶な人生を送りながらも、ステージで歌うことを追い求めたのがジュディでした。
孤独だったジュディでしたが、今でも多くの人の心の中にジュディは生きています。
『虹の彼方に』を歌いながら、たくさんの人の希望であり続けているのです。
ジュディ・ガーランドの生き様が伝わってくる映画、それが『ジュディ 虹の彼方に』でした。