映画『レ・ミゼラブル』(2019) 怒る子供たちが起こした暴動 それは大人が教えた物


ヴィクトル・ユゴーの小説『レ・ミゼラブル』の舞台となったモンフェルメイユ。現在では犯罪の多発する都市となり貧困層が暮らす街になっていした。移民・宗教・権力とこの街が抱える問題。そしてそこで育つ子供達。日本人の知らないフランスのパリ郊外で起こっている現実を知ることができるのが『レ・ミゼラブル』です。

『レ・ミゼラブル』(2019)作品情報

タイトル レ・ミゼラブル(Les misérables)
監督 ラジ・リ
公開 2020年2月28日
製作国 フランス
時間 1時間44分

Rotten Tomatoes

あらすじ

パリ郊外に位置するモンフェルメイユ。

ヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」の舞台でもあるこの街は、いまや移民や低所得者が多く住む危険な犯罪地域と化していた。

犯罪防止班に新しく加わることになった警官のステファンは、仲間と共にパトロールをするうちに、複数のグループ同士が緊張関係にあることを察知する。

そんなある日、イッサという名の少年が引き起こした些細な出来事が大きな騒動へと発展。

事件解決へと奮闘するステファンたちだが、事態は取り返しのつかない方向へと進み始めることに……。

(出典:http://lesmiserables-movie.com)

モンフェルメイユ

ヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」の舞台となった街モンフェルメイユ
現在ここは犯罪多発地区になっていました。

積極的に移民を受け入れてきたフランス。
歴史的に見ても昔から移民受け入れに積極的だったフランスですが、最近ではシリアから逃げてきた人など、中東やアフリカからの移民もたくさんいます。

映画『レ・ミゼラブル』の冒頭は2018年にフランスがサッカーW杯で優勝したシーンから始まります。
この時の優勝メンバーを見てもそのほとんどが移民でした。
この時のメンバー23人のうち21人が移民をルーツに持つメンバーだったのです。
サッカーメンバーを見るだけでも、フランスがどれほど移民を受け入れていたかを知ることができます。

そんなフランスでは今起きているのは移民の人たちの問題でした。
モンフェルメイユは移民の人が多く住む街となっていましが、貧しい人達が暮らし治安は悪化する一方でした。

移民同士で対立するグループができが上がり、また警察は市民を守るわけではなく権力を誇示するばかりでしかも地元の犯罪グループと繋がりさえありました。

映画の中の出来事はもちろんフィクションではありますが、『レ・ミゼラブル』のラジ・リ監督はこのモンフェルメイユで生まれ育ちました。
そして今もモンフェルメイユで暮らしています。

監督が子供の頃から見てきた街の様子が『レ・ミゼラブル』の中で描かれていて、それはフィクションではなく本当のモンフェルメイユの様子なのです。


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育てる者が悪いだけ

悪い草とか、悪い人間はないのです。育てる者が悪いだけです。
ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」の第1巻に書かれている言葉です。
そして映画『レ・ミゼラブル』のラストで私たちに問いかける言葉でもあります。

治安の悪い中で育てられる子供たち。
彼らは接する大人たちは、みんな自分の欲望や利益だけしか考えていません。
そんな中で育つ子供のお手本はそこにいる大人なのです

彼らは犯罪と隣り合わせの暮らしを行っているのです。
大人が行う犯罪や卑劣な行動を毎日見て暮らしているのです。

そしてそんな子供たちが怒りを抑えられなくなった時にとった行動。
それは彼らが毎日見ている大人がやっている行為だったのです。

映画の中のセリフにも出てきますが、2005年にパリ郊外で暴動事件が起こりました。
それはアフリカ系の3人の若者が警察官に追われて、最終的に2人が死んでしまうという事件が発端となって起きた暴動でした。

怒りが溜まっている若者は、警察官たちに対して暴動を起こしたのです。

『レ・ミゼラブル』の中の子供達もたくさんの怒りを心に抱えて暮らしています。
そしてその怒りは暴力で解決すればいいと幼い頃から見ているのです。

子供たちが暴力的になり犯罪者になってしまうのは、育てる者が悪いからです。
それは親だけでなく、地域環境の大人たち全員です。
彼らの行動が子供の見本になってしまうからです。

映画のラスト、警察官を襲ったイッサは彼らに向かって火炎瓶を投げたのでしょうか?
それは監督が大人たち全員に問いかている質問です。

モンフェルメイユで育ったラジ・リ監督の悲痛な叫びであり、またそれは全世界の大人達への叫びでもあったのです。

まとめ

全世界の大人たちに問いかけている作品『レ・ミゼラブル』。
この作品を見た大人はきっと心が痛くなるでしょう。

これがモンフェルメイユで起きている現実であり、全世界で起きている現実なのです。

全ての責任は大人にある。
子供は育てられる人によって、善にも悪にもどちらにもなるのです。