イギリスの田舎の村に静養にきたチャーチル首相を誘拐しようと考えたドイツ軍。最初は冗談だった作戦がどんどん本気の作戦となっていきます。大ヒット小説を映画化したフィクションの『鷲は舞いおりた』を通して第二次世界対戦中のドイツ軍と連合軍をみていきたいと思います。
『鷲は舞いおりた』作品情報
タイトル | 鷲は舞いおりた(The Eagle Has Landed) |
監督 | ジョン・スタージェス |
公開 | 1977年8月13日 |
製作国 | イギリス |
時間 | 2時間15分 |
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あらすじ
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1943年、ヒトラーよりドイツ軍スタイナー大佐へ、イギリスのチャーチル首相誘拐計画“イーグル作戦”の命令が下る。
それは、チャーチルがイギリスの保養地スタドリーで静養するタイミングを見計らって実行せよ、というものだった。
作戦にはIRAのデヴリンも加わり、ポーランド軍に扮したスタイナーら16名の精鋭がいよいよ現地に降り立つ。
しかし、思わぬアクシデントで正体がバレてしまい、米軍との交戦で唯一スタイナーだけが窮地を逃れるのだった。
彼は引き続きチャーチルの動向を窺い、そしてついにその標的を射程に捉えるが…。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/26091)
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ムッソリーニ救出作戦
フィクション映画の『鷲は舞いおりた』ですが、この物語の中でヒトラーがチャーチル首相の誘拐を思いついたのは、ムッソリーが救出されたという本当にあった出来事をヒントにしていました。
1943年9月12日。
グラン・サッソにあるホテルに逮捕され監禁されていたムッソリーニを、ヒトラーの指示によりドイツ軍の落下傘部隊がムッソリーニを救出しました。
グラン・サッソ襲撃と言われているこの事件。
ドイツと同盟国だったイタリアですが、連合軍への降伏が続き国内でムッソリーニに対する不満が持ち上げっていました。
そしてムッソリーニを首相から降ろすためイタリア国内で会議が行われ、1943年7月25日ムッソリーニは首相を解任されると同時に逮捕され、グラン・サッソで監禁されます。
同盟国であるドイツはこの事実を聞いたドイツのヒトラーは、ムッソリーニを救出する指示を彼が捕まった次の日に出しました。
1943年9月8日にはイタリアが連合軍に対して降伏したこともあり、ドイツ軍はムッソリーニ救出をすぐに実行に移すことになりました。
9月12日。
ドイツ軍の空挺部隊が山脈にあるホテルにパラシュートで降下し、ムッソリーニを救出しました。
『鷲は舞いおりた』ではこの成功に気を良くしたヒトラーが、イギリスからチャーチル首相を誘拐することを思いつき、部下に調査を進めるように指示するところから映画は始まるのです。
オルダニー島
チャーチル首相を誘拐する「イーグル作戦」の指揮官となったラドール大佐は、空挺部隊のシュタイナー中佐を訪ねてオルダニー島に向かいます。
オルダニー島はイギリスの領土でしたが、1940年7月にドイツ軍によって占領されてしまいました。
オルダニー島はイギリス海峡にあるチャンネル諸島に属する小さな島です。
このオルダニー島を含め、チャンネル諸島はドイツ軍に占領されました。
1940年5月フランスがドイツ軍に敗北したことで、ドイツはフランスに近いチャンネル諸島に目をつけます。
イギリスはそれを分かっていましたが、戦略的理由によってチャンネル諸島を防衛しないことを決めます。
島の住人達は避難を始め、占領される準備を始めました。
そして7月1日ドイツ軍はチャンネル諸島を占領したと宣言し、7月4日に島は降伏し正式にドイツ軍に占領されることになりました。
『鷲は舞いおりた』では占領したオルダニー島から、イギリスへ向かいます。
その時にイギリス軍から奪った戦闘機や魚雷艦を使いチャーチル誘拐作戦を実行しようとしたのでした。
学びポイント
ベストセラーとなった小説の映画化である『鷲は舞いおりた』。
ドイツ軍がチャーチル首相を誘拐するというフィクションの物語ですが、物語の中で描かれる時代背景は事実と重なるものありました。
そしてまたドイツ軍の長官など実在する人物も登場します。
『鷲は舞いおりた』を通して、1943年当時のドイツ軍や連合軍の状況などを知ることができます。