映画『ビッグ・アイズ』内容と感想 大きな瞳に込められた心の叫び

実話を基にして作られた物語の『ビッグ・アイズ』。妻の描いた絵を自分の絵として売った夫。その絵に書かれる子供の目はとても大きな目をしていました。妻が誰にも言えない秘密を抱えながら描いたその瞳には、彼女の心の叫びが投影されていたのでした。

目次

『ビッグ・アイズ』作品情報

タイトル ビッグ・アイズ(Big Eyes)
監督 ティム・バートン
公開 2015年1月23日
製作国 アメリカ
時間 1時間46分

Rotten Tomatoes

『ビッグ・アイズ』あらすじ


ビッグ・アイズ [Blu-ray]

©Big Eyes SPV, LLC. ALL Rights Reserved.

マーガレット・キーン

10年以上にわたって夫ウォルターのために絵を描き続けたマーガレット・キーン
マーガレットの絵をウォルターが「自分が描いた」と言っているのを見た時には、ショックを受けますが、うまくウォルターに丸め込まれてしまいます。

絵を全くかけないウォルターでしたが、とにかく口がうまかったのです
人を惹きつけるトーク力の持ち主であるウォルターは、そのセールズトークで絵を次々と売っていきます。
しかもビジネスセンスもあったようで、チャンスを必ずものにして大金持ちになっていきました。

豪邸に住むウォルター。
もちろんマーガレットも同じ家に住んでいますが、ずっと誰にも言えない秘密を抱えていた彼女はウォルターに不信感を抱いています。
それでも夫のために絵を描くマーガレット。
夫の脅しで本当のことを言うことが出来なかったのでした。

しかしある日、夫が描いて風景画すら偽物だと言うことに気がつきます。
夫との出会い全てが嘘で作られたものだったのです。
夫のことが信用できなくなってきたマーガレット。
でもウォルターから逃げ出すことが出来ない日々を送りますが、ついにウォルターの元から去ります。
それは批評家に酷評されて豹変したウォルターに恐怖を感じたからでした。

娘とハワイで新しい人生をやり直すことを決めたマーガレット。
そしてついに勇気を振り絞って真実を公表することを決めたのでした。

映画の中で、マーガレットとウォルターが公園で一緒に絵を描いているシーンがあります。
ウォルターのキャンバスはもちろん真っ白です。
そのシーンでマーガレットの後ろのベンチに座っている女性がいました。
実はこの方は、ご本人のマーガレット・キーンさんです。
なんとカメオ出演していました!

大きな目の子供

マーガレットの描く絵の特徴といえば、目の大きな子供です。
彼女は通してこんなに目を大きくしたのでしょうか?

マーガレットは「目は心の窓」だと表現しています。
さらに「この目は私の気持ちなの」とウォルターに説明していました。
相手の目を見て相手の気持ちを感じ、そしてまた自分の気持ちを目を通して相手に伝える。
目はマーガレットにとって、自分の気持ちを伝えるものだったのです。

ウォルターのように口のうまくないマーガレット。
その分彼女は目を通して自分の思いを伝えていたのでした。

だからこそ多くの人はマーガレットのかく子供の目に惹きつけられたのです。
マーガレットのかく子供の顔は笑っていません。
どこか寂しそうでもあり、また涙を流している絵もあります。

好きな絵を描いているはずなのに、彼女の気持ちは悲しくもあり寂しかったのです。
ウォルターの前の夫は横暴でした。
その時から彼女は寂しさを感じていて、その思いが目に投影されていたのです。

ウォルターに出会ってからは、自分の描いた絵なのにそれを誰にも言うことが出来ません。
そんな辛さを心に抱えていて、その辛さが目に映し出されていました。
だからきっとマーガレットの描く絵の目はどこか切なさを感じてしまうのです。
そして大衆はそのなんとも言えない目に魅了されてしまったのでした。

感想

男性優位な時代に女性の絵はなかなか売れませんでした。
そこもきっとウォルターが自分の絵にしようと考えた点だと思います。

ラストシーンで前代未聞の裁判所で絵を描くという方法が取られたときは、見ていてスッキリしました。
これでウォルターの嘘が全て明るみに出ると。
でもそんな時でも「肩が痛くて絵を描けない」というウォルター。
その度胸に感心してしまいます。

もちろんそれは嘘だと分かり、マーガレットは勝利しました。
裁判に負けたにも関わらず、生涯自分が絵を描いたと言い続けたウォルター。
しかもマーガレットに賠償金を払わなかったのです。

とんでもないウォルターに捕まってしまったことがマーガレットにとって不運の始まりだったかもしれえませんが、いまもなお絵を描き続けているというマーガレットは素敵だなと感じました。

実物のマーガレットもとてもチャーミングで、可愛らしかったです。
きっと今は胸を張って自分の絵を描き続けているはずだと思います。

 

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