「白人至上主義団体KKKに潜入捜査をしたのは黒人刑事だった」という実話を元に、スパイク・リー監督が自分の色を足しまくった作品が『ブラック・クランズマン』です。1970年代に起こっていた人種差別は、今もなお続いていることだったのです。
『ブラック・クランズマン』作品情報
タイトル | ブラック・クランズマン(BlacKkKlansman) |
監督 | スパイク・リー |
公開 | 2019年3月22日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間15分 |
Rotten Tomatoes
『ブラック・クランズマン』あらすじ
https://twitter.com/BKM_movie/status/1099870499411189761
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1970年代半ば、アメリカ・コロラド州コロラドスプリングスの警察署でロン・ストールワースは初の黒人刑事として採用される。
署内の白人刑事から冷遇されるも捜査に燃えるロンは、情報部に配属されると、新聞広告に掲載されていた過激な白人至上主義団体KKK<クー・クラックス・クラン>のメンバー募集に電話をかけた。
自ら黒人でありながら電話で徹底的に黒人差別発言を繰り返し、入会の面接まで進んでしまう。
騒然とする所内の一同が思うことはひとつ。
KKKに黒人がどうやって会うんだ?
そこで同僚の白人刑事フリップ・ジマーマンに白羽の矢が立つ。
電話はロン、KKKとの直接対面はフリップが担当し、二人で一人の人物を演じることに。
任務は過激派団体KKKの内部調査と行動を見張ること。
果たして、型破りな刑事コンビは大胆不敵な潜入捜査を成し遂げることができるのか―!?
(出典:https://bkm-movie.jp/intro_story/)
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スパイク・リー監督が込めた想い
https://twitter.com/BKM_movie/status/1099876112606232582
『ブラック・クランズマン』で監督を務めたスパイク・リーはこの作品で脚本も手がけました。
そしてアカデミー賞脚本賞を獲得したスパイク・リー。
これまでも『マルコムX』や『ドゥ・ザ・ライト・シング』で、自分なりのメッセージを伝えてきた彼らしい作品になっていました。
黒人が奴隷として扱われていた時代の映画『風と共に去りぬ』。
KKKの復活の映画となった『國民の創生』。
これらの映画を『ブラック・クランズマン』の中で使うことで、黒人が受けていた差別を描いています。
それと同時に1970年代の黒人の文化もたくさん登場します。
登場するほとんどの黒人がアフロヘアーに革ジャンを着て、当時の黒人文化を描いています。
さらに主人公のロンとパトリスとの会話の中にも黒人メインの映画や登場人物の名前が登場しています。
当時の黒人文化に詳しくないと知らない名前がたくさん登場しますが、これはスパイク・リーらしさでもあります。
彼の「分かる人は楽しんで」という、遊び心が含まれているのです。
黒人差別と黒人文化を対比させることで、ブラックパワーとホワイトパワーの戦いが描かれていました。
アメリカ・ファースト
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1970年代を描いた『ブラック・クランズマン』。
ラストは2017年のニュース映像に続きます。
ここからは物語ではなく実際にアメリカで起こった出来事なのです。
これは今現代でも続いていることなのです。
彼らは「アメリカ・ファースト」と叫びます。
それはトランプ大統領が叫んだ言葉でもありました。
1970年代にKKKが叫んでいた言葉は、現代でも叫ばれている言葉なのです。
映画の中ではロン達はKKKでの潜入捜査に成功し、黒人差別していた白人警察も捕まりハッピーエンドのような終わり方をしています。
しかし、実際は何も終わっていなかったのです。
何も変わっていなかったのです。
最後の映像には「これが現実だ!」というスパイク・リーの想いが込められているように感じました。
まとめ
黒人差別に対する映画を描いた『ブラック・クランズマン』。
スパイク・リー監督らしいユーモアと皮肉を込めた作品になっています。
1970年代のことを描きながらも、現代にも続いている人種差別について訴えかけている映画でした。
ラストに映る実際の映像は、「これが現実です」というスパイク・リーからの痛烈なメッセージになっています。