2001年に公開された『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』。こども向け映画ですが、70年代に子供だった人には感動の物語になっていました。21世紀私たちはどうやって生きて行くのかを教えてくれる映画にもなっています。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』作品情報
タイトル | クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 |
監督 | 原恵一 |
公開 | 2001年4月21日 |
製作国 | 日本 |
時間 | 1時間30分 |
夢や希望に満ち溢れていた1970年代
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』は、1970年の大阪万博EXPO’70から始まります。
この時代に少年少女だったひろしとみさえは、昔の懐かしい時代の博覧会20世紀博に夢中になっています。
ひろし達だけでなく大人達はみんな夢中になっていました。
大阪万博が象徴するようにこの時代は、こらからくる未来に対して多くの子供達が夢を持って生きていました。
戦隊モノのヒーロー映画があったり、魔法少女ものがあったり子供達は夢に溢れていました。
世界的にもこれからくる80年代や90年代は、輝かしい未来になっていると誰もが思っていたのです。
しかし、実際にやってきた21世紀は何か空虚感に満ちたものでした。
子供の頃に憧れた世界ではなく、心にぽっかり穴が空いてしまった大人になってしまっていたのでした。
そんな大人達は懐かしく希望に満ち溢れていた70年代に戻りたいと思い、20世紀博に虜になってしまったのでした。
このリアリティが『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』は、大人向けの映画であると言われ、70年代に子供だった人は映画を見て感動し涙を流したのです。
バブル時代の1980年代後半
なぜひろしやみさえ達は70年代を懐かしみ、80年代以降の世界に希望をみなくなってしまったのでしょうか?
日本の経済は1980年代後半からバブル経済に突入します。
日本全体が好景気になり土地や資産などが高騰しました。
この好景気と同時に社会は消費社会になっていってしまいました。
そんな消費社会に疲れてしまったのが、ひろしやみさえだったのです。
それがひろしの回想シーンの前半部分に描かれているのです。
映画に出てきたチャコが言っていた「外の人たちは心が空っぽだから、物で埋め合わせている」というセリフでも消費社会を表現されていました。
未来のキーワードは家族
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』では、21世紀はダメだという終わり方はしません。
消費社会になり子供の頃持っていた夢や希望は失ってしまったけど、この先どうやって生きたらいいのかという未来も描かれています。
その未来のキーワードは「家族」です。
ひろしの回想シーンの後半がその部分です。
みさえと結婚ししんのすけが生まれひまわりもでき、ひろしは守るものができたのです。
そして家族の温かさを感じ、これからは家族のために家族とともに生きていこうと希望を抱いていました。
しんちゃんも「家族ともっと一緒にいたいから」と家族の大切さを伝えていました。
まとめ
大人むけ作品の『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』は、涙無くしては見ることのできない作品です。
普段「クレヨンしんちゃん」を見ない方にもぜひ見ていただきたい作品です。
そして2001年の時に子供だった人も、それから20年近くたった今見直すとあの頃としがう感動が味わえると思います。