戦場が好きで戦闘部隊を率いることだけが望みだったパットン将軍の、第二次世界大戦の戦いを描いた映画『パットン大戦車軍団』。勝利を求め続けるパットン将軍でしたが、彼を突き動かしていたのはライバルとなるイギリス軍のモンゴメリー将軍さらには敵であるドイツ軍のロンメル元師でもあったのです。
『パットン大戦車軍団』作品情報
タイトル | パットン大戦車軍団(Patton) |
監督 | フランクリン・J・シャフナー |
公開 | 1970年6月27日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間52分 |
・監督賞:フランクリン・J・シャフナー
・主演男優賞:ジョージ・C・スコット
・脚本賞
・編集賞
・美術賞
・録音賞
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ジョージ・パットン
イタリア軍がエジプトへ侵攻したことから始まった北アフリカ戦線。
北アフリカに駐留していたイギリス軍、さらにはイタリア軍を援護するためにドイツ軍も加わり激しい攻防が繰り広げられていました。
1942年になるとアメリカとイギリスを中心とする連合軍がアフリカに上陸し、一進一退の攻撃が行われるようになります。
少佐だったパットンはモロッコに上陸していましたが、1943年春チュニジアでアメリカ軍が大敗すると第2軍団の司令官として部隊を率いることになりました。
映画『パットン大戦車軍団』は、パットンが第2軍団の司令官となったところから始まります。
自ら「戦場が好き」と言うパットンは堕落していた兵士を鍛え上げ、イギリス軍のモンゴメリー将軍の部隊を援護しながらドイツ軍のロンメル元帥をアフリカから撤退させました。
根っからの軍人で戦略家でもあったパットン将軍は、戦わない兵士に対しては厳しくそれが後に神経症を患った兵士を殴ってしまうという事件に繋がってしまいます。
それによりパットン将軍は前線から退くことになってしまいますが、一方で負傷した兵士には勲章を与え戦死した兵士を敬うなどの一面も持ち合わせていました。
それが軍人パットン将軍でもあったのです。
それと同時にパットン将軍といえば「口の悪さ(暴言)」も有名でした。
政治に関心がなかったこともありますが、彼は自分の発言によってその立場を悪くしてしまうこともありました。
第二次世界大戦で連合軍を勝利に導いた立役者であることは間違いなく、戦争においては逸脱した才能の持ち主でしたが、ノルマンディー上陸作戦では囮とされてしまうなど、なかなか英雄となれない人物でもあったのです。
しかもそれは全て自分の行動によるものだったのです。
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イギリス軍・モンゴメリー将軍
北アフリカ戦線の時からパットンが常に気にしたいたのが、イギリス軍のモンゴメリー将軍でした。
北アフリカで第2軍団の司令官として部隊を率いていたパットンは、常にモンゴメリーの軍を援軍する立場でもありました。
「イギリス軍にも英雄が必要だ」と言い彼に花を持たせようとしていたパットンですが、心の中では常にモンゴメリーはライバルでした。
それが顕著に現れたのが、北アフリカ戦線後のシチリア上陸の際でした。
映画『パットン大戦車軍団』の中でも描かれているように、2人は部隊を引き連れてこぞってメッシナを目指しまし、結局パットンの方が先にメッシナに到着し占領しました。
この事がきっかけでモンゴメリーはかなりパットンを敵視するようになったとも言われています。
映画はパットンの物語なので彼の横暴ぶりばかりが描かれていますが、実際はモンゴメリーもかなりの曲者で連合軍の最高司令官のアイゼンハワーとぶつかることも多かったようです。
同じ時期に存在したアメリカ軍とイギリス軍の英雄は、どちらも一筋縄とはいかない人物だったようです。
ドイツ軍・ロンメル元帥
北アフリカ戦線においてイギリス軍を苦しめたのがドイツ軍のロンメル元帥で、連合軍側が天才的な戦術家として認めていたほどの存在でした。
アフリカの過酷な砂漠での戦いの中でロンメルは次々と攻略的な作戦を仕掛け、イギリス軍を追い詰めていきました。
『パットン大戦車軍団』の中でもパットンは彼のことを「天才戦術家」と呼んでいて、彼と戦い勝利したいという野望をあらわにしています。
またパットンのロンメルに対する勝利への思いは強く、ロンメル率いる第10機甲軍に勝利しましたがロンメルが病気のために部隊から離れていたと知るとパットンは露骨に悔しがるほどでした。
それを知ってか知らずかノルマンディー上陸後モンゴメリー将軍は、上陸に直接関与しなかったパットン将軍に向かって「ノルマンディーでロンメルと戦った」と挑発していました。
映画の中では、パットンとモンゴメリーの2人が競ってロンメルを倒そうとしているよう姿が描かれていましたが、逆にいえばそれほどエルヴィン・ロンメルは名将だったと言えるのかもしれません。
まとめ
第二次世界大戦におけるパットン将軍の戦いぶりを映画『パットン大戦車軍団』。
戦略家でありながらも自身の言動から英雄になれなかったパットンですが、戦争に対する思い勝利へのこだわりは誰よりも強い人物だったことが分かります。
そしてその影には必ずと言っていいほどモンゴメリー将軍やロンメル元帥の姿があって、彼らよりも自分の方が優れていることを証明したかったのがジョージ・パットンだったのかもしれません。
映画『パットン大戦車軍団』は、この時代にアメリカ・イギリス・ドイツにいた戦略家たちの姿を見ることができる映画でもありました。