「汚い仕事専門」の刑事を描いた映画ダーティハリー。法律を無視してでも正義を貫くハリーは、1970年代初頭という時代の象徴でもあります。腐敗が広がり法律が力を失ってしまった社会で、たった1人で悪と立ち向かうヒーロー、それがダーティハリーなのです。
『ダーティハリー』作品情報
タイトル | ダーティハリー(Dirty Harry) |
監督 | ドン・シーゲル |
公開 | 1972年2月26日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間42分 |
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1970年代初頭のアメリカ社会の象徴
アメリカで1971年に公開された映画『ダーティハリー』は、当時の社会の象徴でもありました。
[box class=”red_box” title=””]・ベトナム戦争
・ロバート・F・ケネディ暗殺事件
・ウォーターゲート事件
・異常犯罪[/box]
この時代、正義が通用しない社会に人々を恐怖を感じていました。
それと同時に当時は犯罪者の人権を過度に擁護する報道が行われていた時代でもありました。
1960年代後半〜1970年代前半にサンフランシスコでゾディアックと名乗る人物が連続殺人事件を起こします。
『ダーティハリー』に出てくる異常な犯罪者はこのゾディアックがモデルになっていますが、実際の事件の方はゾディアックは逮捕されておらず未解決事件となっています。
\\映画化されたゾディアック事件//
ゾディアック(字幕版)
当時サンフランシスコに住んでいる人々は、凶悪犯が近くにいるかもしれないという不安に怯えながら生活していました。
そんな恐怖や不正が蔓延る社会の中で生活をしていた人々の怒りや憤りを表しているのが、キャラハン刑事ことダーティハリーなのです。
『ダーティハリー』を見た観客は法律を無視して正義を貫くダーティハリーに感情移入し、彼をヒーローのように感じました。
しかし一方で正義よりも法律を尊重する検事や弁護士などの法律家にとっては、ダーティハリーの行動は許し難いものでもありました。
映画公開当時『ダーティハリー』はその暴力的な内容だけでなく、ダーティハリーの行動が物議を呼ぶ作品でもあったのです。
しかし多くの人がダーティハリー英雄と感じたことで、彼は愛される刑事となりその後も続編が作られる人気作品となったのでした。
新たな刑事像
正義を貫くために法を無視し、たった1人で銃1つで悪に立ち向かう刑事キャラハン。
その姿は現代版西部劇のヒーローと重ねられました。
[box class=”red_box” title=””]考えてるな 弾が残っているかどうか
撃ちまくって俺にも分からん
だがこれは特性の大型拳銃だ
脳ミソが吹っ飛ぶ
それでも賭けてみるつもりか
どうだ[/box]
と言いながら、犯人に銃を向ける姿は西部劇のガンマンそのものです。
相手をからかいまた拷問を与えいるようなこのセリフは当時とても斬新なセリフでもありました。
『ダーティハリー』は映画の内容はもちろんですが、クリント・イーストウッドが演じるダーティハリーのたたずまいやセリフなど公開直後からとても話題になり、その後の刑事映画に多大な影響を与えました。
『リーサル・ウェポン』でメル・ギブソンが演じたリッグス刑事や『ダイ・ハード』でブルース・ウィリスが演じたジョン・マクレーンなども、ダーティハリーの影響と言えます。
ダーティハリーは当時の人々の声を代弁したキャラクターでもありましたが、それは時代を超えて受け継がれていったのです。
1970年代の象徴でもあった『ダーティハリー』ですが、それは同時に新しい刑事映画を生み出した作品でもあったのです。
まとめ
現代につながる新しい刑事映画の基本を作ったとえいえる映画『ダーティハリー』は、1970年代の社会の不安や不満から誕生した作品です。
当時の法律に対する不信感が蔓延する社会は、やがて異常な犯罪を生み出してしまうことになります。
そんな法律で罰することができない悪に対して、たった1人で挑んだのは正義を重んじるダーティハリーだったのです。
参考資料:ダーティハリー 特別版 [DVD]