映画『プレシャス』1987年ハーレムで起きていた現実


1987年のハーレムが舞台の映画『プレシャス』。母親と2人で暮らす16歳のプレシャスは2人目の子供を妊娠していた。子供の父親はプレシャスの父親。母親はそれを黙って見ているしかなかった。学校にも通えず読み書きもほとんどできないプレシャス。それでも彼女にはなりたい自分がいる。ハーレムで何が起こっていたのか、『プレシャス』が事実を突きつける。

『プレシャス』作品情報


プレシャス(字幕版)

タイトル プレシャス(Precious)
監督 リー・ダニエルズ
公開 2010年4月24日
製作国 アメリカ
時間 1時間50分

Rotten Tomatoes

あらすじ

1987年のニューヨーク、ハーレム。

16歳のプレシャスは、極度の肥満体型のうえ読み書きも出来ず孤独に堪え忍ぶ日々。

“貴い”という名前とは裏腹の過酷な毎日だった。

この年齢にして2度目の妊娠。

どちらも彼女の父親によるレイプが原因。

失業中の母親は、そんなプレシャスを容赦なく虐待し続ける。

妊娠が理由で学校を停学になった彼女は、校長の勧めでフリースクールに通うことに。

彼女はそこで若い女性教師レインと運命的な出会いを果たす。

彼女の親身な指導のおかげで読み書きを覚え、次第に希望の光を見出し始めるプレシャスだった。

(出典:https://www.allcinema.net/cinema/335599)

アカデミー賞受賞
・助演女優賞:モニーク
・脚色賞

フリースクール

2人目の子供を妊娠してしまったことで、学校を追い出されてしまったプレシャス。
それでも勉強が好きだったプレシャスが向かったのは「Each One Teach One」と言うフリースクールだった。

ここにはプレシャスのように問題を抱え学校にいけない子供達が集まっていた。
プレシャスのクラスはほとんど読み書きができない生徒ばかり。

プレシャスは数学は大好きだったが、読み書きはできなかった。
プレシャスはDay(デイ)を読むことができないところからスタートした。

しかしここに集まる子達には夢がある。
なりたい自分がある。

みんな色々な事情で勉強できない環境だったけど、彼女達何り勉強が必要だと言うことはわかっていた。

プレシャスは母親に「お前は利口になれない」と言われて育った。
勉強することが必要ないと言われ続けていた。

母親が彼女に求めること。
それは料理することと、社会福祉に行ってお金を得てくること。

これが当時のハーレムの現実だった。
学びたくても学ぶことを許されない状況。

プレシャスはそんな状況で何度も心折れそうになるが、なりたい自分を追い続けた。

プレシャスのように諦めないでいることができる人はどのくらいいるのだろう。

だからこの映画は「すべての愛しい女の子」で送られた映画なのだ

それでもこの映画の中で描かれる現実は、強烈で残酷だ。
そしてこれは現実に起きていることなのだ。

母親と娘

父からも母からも虐待され続けていたプレシャス。
それでもプレシャスは母親と暮らしている。

働かない母親にとってプレシャスは、生活保護をもらうために必要なのだ。

母親は夫が娘に手を出していることを知っていた。
それを見て何も言わなかった。

なぜなら、愛する夫に捨てられたくなかったから。
そんな夫の子供を2人も産んだ娘プレシャス。

母親にとって彼女は娘ではない。
自分の愛する夫を奪った女性なのだ。
だからいつまでも娘を敵視する。
だから娘を利用するだけ利用して、自分のような人生を歩ませようとする。

母親はソーシャルワーカーの前で泣きながら、自分の思いを吐き出す。

娘プレシャスは母親の思いを聞き涙する。
自分の誕生日も忘れている母親は、誰にも愛されずに不安だったのだ。
夫を奪われたくなかったのだ。
孤独になりたくなかったのだ。

なぜなら母親は1人では生きていけないから。
それは心だけでなく教養的にもだ。

そんな母親を目の前にしてプレシャスは決意した。
母親のようにはなりたくない」。

彼女は子供2人とともに生きて行くことを選んだ。
大好きな勉強を続けながら自分の人生を歩むことを決めた。

「もう二度と会わない」と言って母親の元を去ったプレシャス。

きっとまだまだ困難なことが待ち続けているだろう。
それでもなりたい自分を思い続けて彼女は子供達のために一生懸命生きるのだ。

母親とは違う母親になるために。

まとめ

1987年ハーレムで暮らす1人の少女を描いた『プレシャス』。

そこには虐待・貧困という自分の手ではどうにもならない中で暮らす少女の実態がありました。

もがき苦しみながらも自分の歩く道を見つけたプレシャス。

彼女がいつも妄想する幸せな世界が、いつか彼女にくることを願うばかりだ。

それと同時にこの映画で描かれる世界が、当時の状況だと思うと言葉を失ってしまう。