映画『西部戦線異状なし』(1979)で描かれたドイツ側から見た塹壕戦の戦い


1930年の映画『西部戦線異状なし』をリメイクした1979年版の『西部戦線異状なし』。カラーになったことでより塹壕戦の悲惨さを見ることが出来るようになっていました。ドイツ側から見た第1時世界大戦。前線に向かったのはまだ10代の若者たちでした。彼らがそこで見たこと考えたこと。どれほど塹壕戦が悲惨だったかを知ることができる映画になっています。

『西部戦線異状なし』(1979)作品情報


西部戦線異状なし デジタル・ニューマスター 完全版 [DVD]

タイトル 西部戦線異状なし(All Quiet on the Western Front)
監督 デルバート・マン
公開 1979年11月14日
製作国 アメリカ/イギリス
時間 2時間3分

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あらすじ

第一次世界大戦が始まって間もない頃、ドイツのある町の学校で、教師は生徒たちに愛国主義を説いていた。

情熱に駆り立てられた若者たちは、直ちに出征を志願する。

入隊後、彼らは過酷な訓練を受け、戦場へと送り出される。しかし前線で待っていたのは、飢えと恐怖に脅かされる過酷な日々だった。

轟く射撃音や激しい砲火の中で、若者たちの英雄主義は無残にも崩壊し、ヒステリーになる者や、理性を失い塹壕を飛び出す者が続出する。

(出典:https://www.cinefilwowow.com)

第1時世界大戦

1914年オーストリアの皇位継承者夫妻がサラエボを訪れていた時に、反オーストリアのセルビア人によって殺されてしまいました(サラエボ事件)。

これに対してオーストリア政府は、1914年7月28日セルビアを攻撃します。
これが第1時世界大戦の始まりでした。

ロシア政府はセルビア側につき、セルビアにロシア軍を動員しました。
するとドイツはオーストリア政府を支持し、8月1日にロシアに対して宣戦布告しました。

フランスはロシアを支持するとドイツは8月3日フランスに対しても宣戦布告しました。

ドイツはベルギーに侵攻し、その後フランス侵攻を企てます。
ベルギーが侵攻されたことでイギリスも参戦することになります。

ドイツはパリを短期間で攻め落とすはずでしたが、失敗してしまいフランスとドイツの国境で長期にわたる戦いが始まることになりました。
この戦いが西部戦線です。
両軍がともに塹壕を掘り、激しい戦いを長期にわたり繰り広げたことで塹壕戦とも呼ばれています。

『西部戦線異状なし』で学校を卒業した若者が向かったっ先はこの塹壕戦の前線だったのです。
戦地に向かう前に想像していたのとは全く別の世界がそこでは待っていました。

鳴り響く爆撃の音や不衛生な塹壕やキャンプでの生活に次第に兵士たちは、正気を失い始めました。
それでも彼らは停戦までそこで戦うしかないのです。

ドイツでは戦地の残酷な状況をを知らない人たちがの平和に暮らし、ドイツの勝利を信じてやみません。
彼らの居場所は戦地しかなかったのです。
兵士にとって戦地の仲間だけが本当の家族だったのです。

新たな兵器

初めての世界大戦となった第1時世界大戦。
この戦いでは新しい兵器が使用される悲惨な戦いとなりました。

『西部戦線異状なし』の中では、まず火炎放射器が登場します。
映画の中ではフランス軍が使用していますが、1916年にドイツ軍が初めて戦争で使用したと言われています。
塹壕の中を攻撃するために用いられました。

次に毒ガスが登場します。
こちらもまた1915年にドイツ軍が初めて使用した化学兵器です。
映画の中でも毒ガスを避けるためにガスマスクを使用しているシーンが描かれています。
大量の死者を出す子ことになってしまった化学兵器に対して、第1時世界大戦後の1925年のジュネーブ議定書で化学兵器の使用は禁止されました。

さらに第1時世界大戦では初めて戦車が登場します
映画の中には登場しませんが、カットのセリフに「向こうには戦車もある」と言葉があります。
イギリス軍が通称タンクと呼ばれる戦車を初めて使用します。
最初の戦車には砲塔などがなく、あくまで塹壕を超えるためと機関銃の攻撃を制圧するためのものでした。

第1時世界大戦は、多くの新兵器が登場したことで今までの戦いにはない悲惨で残酷なもの止まりました。
それがまた戦地で生き残っていた兵士たちを苦しめることにもなったのです。

まとめ

新たな兵器が登場し悲惨な戦いとなった第1時世界大戦。
その中でもドイツ軍とフランス・イギリス軍が戦った塹壕戦はとても残酷な戦いとなりました。

そんな戦地の状況をドイツ側から描いたのが『西部戦線異状なし』です。
この映画を見ると戦地の悲惨さとまた戦地に送り込まれた若者の悲劇を知ることができます。

戦地で戦ったのは普通の少年たちだったのです。


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