映画『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』で知るベトナム戦争の真実と新聞社の戦い


「負ける」と知りながらアメリカ政府が続けたベトナム戦争。その調査結果が書かれた最高機密文書の内容をNYタイムズは新聞に掲載しますが、大統領によって新聞を差止めされてしまいました。『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』ではベトナム戦争の真実と報道の自由を貫いた新聞社の戦う姿を見ることができます。

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』作品情報


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タイトル ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(The Post)
監督 スティーヴン・スピルバーグ
公開 2018年3月30日
製作国 アメリカ
時間 1時間56分

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あらすじ

ベトナム戦争が泥沼化していた1971年。

ニューヨーク・タイムズはベトナム戦争に関する政府に不都合な事実が記載された最高機密文書、通称“ペンタゴン・ペーパーズ”についてのスクープ記事を発表する。

アメリカ中が騒然となる中、ニクソン政権は裁判所に記事の差し止め命令を要求する。

タイムズが出版差し止めに陥る一方、出遅れたライバル紙のワシントン・ポストでは、編集主幹のベン・ブラッドリーが文書の入手に奔走する。

やがて全文のコピーを手に入れたポストだったが、それを公表すれば裁判となって会社の将来を危うくしかねず、経営と報道のはざまで社内の意見は大きく二分する。

そしてそんな重大な決断が、亡き夫の後を継ぐ形でいきなりアメリカ主要新聞社史上初の女性発行人となったキャサリン・グラハムに託されたのだったが…。

(出典:https://www.allcinema.net/cinema/362501)

ベトナム戦争

第二次世界大戦後、日本が敗北したことでベトナムはホー・チ・ミンによりベトナム民主共和国が誕生しました。

しかしフランスが支配しようとする南ベトナムとホー・チ・ミンの支配する北ベトナムでは激しい対立が続くようになります。

1954年にフランスの敗北で戦いは終結しますが、ベトナムは南北に分けられたままになってしまいます。
その後、アメリカは南ベトナムを支援し南ベトナムには「ベトナム共和国」が誕生しました。
一方北ベトナムには、南ベトナムの解放を求める「南ベトナム解放民族戦線」(ベトコン)が誕生し南ベトナムに攻撃を開始します。

1964年北ベトナムがアメリカ軍の駆逐艦に攻撃しするという「トンキン湾事件」がおこりました。
これをきっかけにアメリカ軍は北ベトナムへの攻撃を開始し、アメリカはベトナム戦争に本格的に参加することになったのです

アメリカ国内では「ベトナム反戦運動」が高まりますが、アメリカ政府はそのまま戦争を続けます。
結局アメリカはベトナム戦争に負けてしまうのですが、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』の舞台である1971年はアメリカはまだベトナム戦争中でした。

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

ケネディ大統領とジョンソン大統領のもとでアメリカ国防長官を務めたロバート・マクナマラ。

彼はベトナム戦争について分析と調査を行っていました。
その調査を行ったのがランド研究所のダニエル・エルズバーグでした。
彼は戦地に向かいこの戦争には勝てないと感じます。
そしてそれをマクナマラに伝えます。

しかしマクナマラはその内容を伏せて、ベトナム戦争を続けたのでした。
もちろんケネディ大統領やジョンソン大統領の戦況はしっていましたが、「アメリカ敗北という不名誉」を避けるため、若者を戦地に送り続けていたのでした。

この出来事に怒りを覚えたエルズバーグは、機密文書をコピーしNYタイムズに送ったのでした。

機密文書の中身は1945年〜1967年までに及ぶものでした。
アメリカはトルーマン大統領、アイゼンハワー大統領、ケネディ大統領、ジョンソン大統領と30年間にも渡って国民を騙していたのでした。

さらにニクソン大統領は今までの流れを引き継ぎ、ベトナム戦争を支持しています。

機密文書が世間に公表されてしまったことは、ニクソン政権にとっては許せない出来事だったのです。
そしてニクソンは権力を誇示しようとします。

映画の中で使われているニクソンの電話の声は、実際のニクソンの肉声です。

ワシントン・ポストの戦い

今ではアメリカの全国紙の1つであるワシントン・ポスト誌ですが、1971年はまだワシントンの地方紙でしかありませんでした。

会社の経営が厳しい状況にある中、編集主幹のベン・ブラッドリーはポスト紙をNYタイムズのような新聞にしたいという強い願望を持っていました。

そんな中、NYタイムズが最高機密文書のスクープを報じました。
ブラッドリーは、遅れをとるまいとなんとか機密文書を手に入れようとしていました。

しかし、ニクソンはNYタイムズに差止めを言い渡します。
過去に一度も例のない大統領による新聞の差止め。
ブラッドリーは、「報道の自由」を守るために、手に入れた機密文書を掲載しようとします。

掲載すれば自分たちもニクソンによって訴えられるかもしれない中、ポスト紙の役員たちは掲載をやめるように言います。
そしてその決断はポスト紙のトップであるキャサリン・グラハムに委ねられました。

自殺した夫から引き継いだグラハム。
彼女は会社を守ろうと慣れない仕事をこなしていましたが、会社の役員たちは女性であるキャサリンを受け入れようとはしませんでした。
彼女がトップであることに不満を持っている役員もいるほどでした。

役員が皆掲載を止める中、グラハムの下した決断は「掲載する」ことでした。
彼女は「新聞は国民の繁栄の自由と報道の自由のために」という道を選んだのでした。

結果、裁判になりますがNYタイムズとワシントン・ポストは6対3で勝訴しました。
彼らは報道の自由を勝ち取ったのでした。

機密文書の戦いはここで終結しますが、この後もワシントン・ポストの戦いは続きます。
映画のラストで描かれているウォーターゲートへの不法侵入事件。
この事件がニクソン政権のもとで行われたことを暴いたのも、ワシントン・ポスト紙だったのです。

学びポイント

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』で描かれたワシントン・ポストの戦い。

報道の自由を守るために戦った新聞社の姿が描かれていると同時に、ベトナム戦争に対するアメリカ政府の真実も描かれていました。

そしてまたニクソン政権時代のアメリカも知ることができて、この時代にアメリカで何が起こっていたのかを垣間見ることができます。

ニクソン政権時代に起こった他の出来事と、この映画を合わせてみるとよりアメリカの歴史を知ることができるはずです。