映画『天気の子』内容と考察 狂った世界で見つけた本当の願い


『君の名は。』から3年、深海誠監督の新作は人生に目的を見出せない若者が、運命に流されながらも生きる意味を見つける物語です。そして深海監督描く美しい雨と花火と空の向こうには、昔から伝えられる天気の秘密が隠されていました。

『天気の子』作品情報

タイトル 天気の子
監督 新海誠
公開 2019年7月19日
製作国 日本
時間 1時間51分

『天気の子』あらすじ


小説 天気の子 (角川文庫)

「あの光の中に、行ってみたかった」

高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。

しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。

彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。

そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。

ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らすその少女・陽菜。

彼女には、不思議な能力があった。

(出典:https://tenkinoko.com)


天気の巫女

天気のことを調べるために須賀と夏美が向かったのは気象神社。
そこで神主さんが語った話。
それが陽菜の運命でした。

「昔はどの村にも天と人を結ぶ細い糸があり、天気の巫女が人々の願いを天に届ける役割ができる特別な人間がいた。」

この天気の巫女が陽菜だったのです。
そもそも巫女とは神の言葉を伝える役目の女性のことをさします。

天気とは天の気分。
天気の巫女はこの天気を治療する役割であり、それととも地上に住む人の願いを叶える枠わりを果たしていました。

天気の巫女が天気を治療すれば天気は晴れになるのです。
水没してしまった東京に対しておばあさんは「東京のあの辺はもともと海だったのよ。だから結局元に戻っただけだわ、なんて思ったりもするのね

天気の巫女が昔から天気を治療して、私たちの住む陸地を創ってくれていたのです。
だから陽菜が巫女でなくなり雨が続く世界は、昔に戻っただけなのです。

陽菜は巫女として、人々の願いを天に届け天気の治療をしていました。
しかしそれには代償がありました。
陽菜は人柱でした。

人柱とは「難工事完成を祈って神にいけにえとして生きた人を水や土に沈めること。そのいけにえの人。転じて、ある目的のために犠牲になること。その人。」

陽菜は人々の願いを叶える代わりに、自分の身を犠牲にしていました。
それが巫女の運命でした。

やっと見つけた本当の願い

島から逃げて東京にやってきた帆高。
目的があって東京にやってきたわけではなく、ただ雨の中にある一筋の光の中に行ってみたいと思っただけでした。

東京での生活は厳しく、生活のために始めたバイト。
帆高はそのバイトの中で忙しい日々を送っていました。

一方母を亡くして弟と2人で暮らしていた陽菜。
彼女もまた生活のためにバイトをする日々でした。

生きていくために働くだけの生活。
日々の生活に追われるだけの毎日の中で、帆高と陽菜は出会います。

自分が「天気の巫女」であることを知らずに、人々の願いを叶え続ける陽菜。
しかし次第に彼女はその仕事にやりがいを感じます。
人々を笑顔にできる仕事。
彼女は「晴れ女」として自分の役割を知ったのでした。

しかしその役割は陽菜にとっては非情とも言える運命だったのです。
陽菜が自分の運命に気がついた頃、帆高は彼女への想いに気がつきます。
しかしその時には、すでに陽菜は姿を消していました。

必死に陽菜を探す帆高。
その思いは「会いたい」ただそれだけだったのです。
帆高を雇っていた須賀も帆高のその気持ちに動かされます。
それは彼もまた亡くなった奥さんに会いたかったからです。

帆高の「会いたい」という気持ちが陽菜を助けます。
巫女としての力は失ってしまうけど、天気は狂ってしまうけど、それでも帆高は彼女を選びました。

3年後、水没してしまった東京の街。
そこで空に向かって祈る陽菜。
今度は陽菜が帆高に「会いたい」と願い、その願いは届いたのでした。

世界は変わり天気は狂ったけど、2人は自分の本当の願いを見つけ叶えました。
だから2人はこの先も「大丈夫」なのです。
狂った世界でも生きいく術を知っていて、一緒に生きる人がいるから「大丈夫」なのです。

まとめ

運命に逆らうことがたとえ狂った世界を創ることになっても、生きる希望を見つけた若者の強さを描いた作品が『天気の子』でした。

「会いたい」と心から想える人、それが彼らの希望でした。

陽菜を探して必死に走り続ける帆高。

美しい自然をリアルに描く深海監督の繊細さではなく、力強さや生きる力を感じるシーンになっていました。

今の混沌とした世界に対して「どんな世界であっても誰かを想いそして誰かとともに生きる」という深海監督の熱いメッセージを感じる作品でした。