映画『父親たちの星条旗』内容と感想 1枚の写真で英雄にされた若者達の苦悩と現実


1945年第二次世界大戦中に硫黄島の戦いに参加したアメリカ兵達。そこで取られた1枚の写真によって、彼らはアメリカの英雄となったのでした。しかし硫黄島での戦いの悲惨さ、さらに英雄としての日々が次第に彼らの人生を壊していくのでした。

『父親たちの星条旗』作品情報

タイトル 父親たちの星条旗(Flags of Our Fathers)
監督 クリント・イーストウッド
公開 2006年10月28日
製作国 アメリカ
時間 2時間15分

Rotten Tomatoes

『父親たちの星条旗』あらすじ


父親たちの星条旗 [Blu-ray]

太平洋戦争末期、硫黄島に上陸したアメリカ軍は日本軍の予想以上の抵抗に苦しめられ、戦闘は長引き、いたずらに死傷者を増やす事態に陥っていた。

そんな中、擂鉢山の頂上に星条旗が高らかに翻る。

この瞬間を捉えた1枚の写真が銃後のアメリカ国民を熱狂させた。

星条旗を掲げる6名の兵士、マイク、フランクリン、ハンク、レイニー、アイラ、ドクは一躍アメリカの英雄となるのだった。

しかし、その後祖国に帰還したのはドク、アイラ、レイニーの3人だけだった。

国民的英雄として熱狂的に迎えられた彼らは、戦費を調達するための戦時国債キャンペーンに駆り出され、アメリカ各地を回るのだったが…。

(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=324328)


硫黄島の戦い

出典:IMDb

1945年2月19日〜3月26日まで行われた硫黄島の戦い
アメリカ軍と日本軍の壮絶な戦いがこの島で行われました。

激しい戦いの末にアメリカ軍が硫黄島を制圧し、摺鉢山に星条旗を立てます
この時の物語が今作の『父親たちの星条旗』です。
しかしアメリが軍に制圧されながらも、島に残っていた日本軍は戦いを続けます。
映画の中でも「星条旗を掲げてから35日間銭湯は続きました」というセリフがあります。

激戦地の1つである硫黄島の戦い。
この戦いをアメリカ側の視点から描いたのが『父親たちの星条旗』で、この映画の公開から2ヶ月後には『硫黄島からの手紙』が公開されこちらは日本側からの視点で硫黄島の戦いを描いています。

どちらもクリント・イーストウッドが監督を務め、この島でどんな戦いが起きていたのか、さらにはこの戦いによって人生を狂わされた人たちのことを実話を元に描きました。

2作品見ることで、硫黄島で起きていたことを理解することができるようになっています。

作られた英雄

出典:IMDb

硫黄島の摺鉢山に掲げられた星条旗。
アメリカ軍が硫黄島を征服したことを意味するこの写真が、アメリカの新聞に掲載されました。

そしてこの写真に写っていた6人は一躍英雄となります。
当時のアメリカは戦争への資金難で困っていました。
アメリカ政府はこの6人を英雄とし、戦争の資金集めに利用する事にしたのです。

アメリカ本土の帰国命令のでた6人。
しかしすでにこの写真に写っている6人のうち3人は亡くなってしました。

本土に帰ると自分たちが英雄になっていることに気がつく3人。
しかし実際はこの写真に写っている星条旗は2枚目の旗だったのです。

1枚目を掲げた隊は別にいました。
しかし彼らの掲げた旗が欲しいというとんでもない政治家のために、最初の旗を降ろし別の旗を掲げたのです。
その時の写真がこの写真でした。

さらに写っているとされたいた6人の名前の中には、間違った名前もありました。
真実は違うのに、英雄とされて資金集めのためにアメリカ全土を回る3人。
しかも自分たちが硫黄島で見てきたこと、やってきたことは誰にも言えないほど悲惨なことでした。

自分たちは英雄ではない」という想いは関係なく、政府は3人を英雄に仕立て上げます。
しかも利用するだけ利用し、その先の保証はありません。

本土に戻っても硫黄島での経験を忘れられない兵士たち。
今でいうPTSDに悩んでいましたが、もちろん周りはそんなことを知りませんでした。

3人は硫黄島では辛い戦争体験をし、アメリカ本土に戻ってきても戦争に苦しめられたのです。
死してそれは戦後も続いていたのでした。

感想

戦地に向かったのはみんな普通の人で、戦地では必死で戦うしかなかったのです。
今までの生活が一変してしまう戦場での戦い。
それが戦争なのだということが、痛いくらい伝わってきます。

硫黄島で戦った兵士たちはみんな普通の若者たちでした。
そしてみんな友を思い、友のために戦い続けていました。

一瞬で命を奪ってしまう悲惨な戦場。
しかしその戦地から生き残り、国に戻った後も彼らいとっては戦争だったのかもしれません。

PTSDと戦いながら、世間との流れと戦いながら、居場所を失っていったのかもしれません。
そしてそんな想いは誰にも言えずに、心にしまっておくしかなかったのでしょう。

この作品には敵側の日本兵も出てきます。
この時日本軍はどんな気持ちで戦っていたのか、それは『硫黄島からの手紙』で描かれます。

2本合わせて見ることで、この島で戦った兵士たちの思いそして恐怖を知ることができるでしょう。