3代目ジェームズ・ボンドを演じたロジャー・ムーアの最初の007シリーズ作品、映画『007 死ぬのは奴らだ』は、登場人物のほとんどがアフリカ系アメリカ人という時代に合わせた内容になっていました。そんな新生007で特殊メイクを担当したのは、のちに特殊メイクの巨匠となる若い頃のリック・ベイカーでした。
『007 死ぬのは奴らだ』作品情報
タイトル | 007 死ぬのは奴らだ(Live And Let Die) |
監督 | ガイ・ハミルトン |
公開 | 1973年7月28日 |
製作国 | イギリス/アメリカ |
時間 | 2時間01分 |
あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
新たな007シリーズ
映画『007 死ぬのは奴らだ』から、ジェームズ・ボンドを演じたのはロジャー・ムーアで、彼は3代目になります。
新しくなった007シリーズですが、『007 死ぬのは奴らだ』では登場人物の多くがアフリカ系アメリカ人という、今までにない試みを行っています。
『007 死ぬのは奴らだ』が公開されたのは1973年。
世の中はブラックスプロイテーションというジャンルが流行っていた時代でした。
1970年代前半に流行ったブラックスプロイテーションとは、アフリカ系アメリカ人によって製作されたアフリカ系アメリカ人のための映画を指します。
『007 死ぬのは奴らだ』もその流行を取り入れ、今までのシリーズ作品にはない登場人物のほとんどがアフリカ系アメリカ人という設定になっています。
特殊メイク
ロジャー・ムーア、アフリカ系アメリカ人の出演者たちと話題満載の『007 死ぬのは奴らだ』でしたが、この作品では特殊メイクが使用されています。
その特殊メイクのスタッフとして抜擢されたのは若かりし頃のリック・ベイカーだったのです。
彼はのちにアカデミー賞でメイクアップ賞を7回も受賞し、今では特殊メイクの巨匠と言われている人物です。
元々はリック・ベイカーの師匠でもあるディック・スミス(エクソシストやゴッドファーザーの特殊メイク担当)に依頼がありましたが、彼は忙しかったため弟子であるリック・ベイカーを推薦しました。
『007 死ぬのは奴らだ』はリック・ベイカーが担当する初めてのメジャー作品となります。
映画のラストでジェームズ・ボンドによって圧縮ガス弾を無理やり飲まされた敵のカナンガの体は、どんどん膨れ上がり最後には破裂してしまいます。
この膨れあががったカナンガの頭部を作ったのがリック・ベイカーでした。
またボンドに銃で撃たれて頭が凹んでしまったブードゥー教のサメディ男爵の頭部も製作しています。
本当はカナンガがなりすましているMr.ビッグのマスクもリック・ベイカーが担当する予定でしたが、カナンガ役のヤフェット・コットーと意見があわず、こちらは担当を変えられてしまったようです。
(参考資料)
メタモルフォシス:リック・ベイカー全作品
まとめ
3代目ジェームズ・ボンドの登場となった映画『007 死ぬのは奴らだ』は、時代の流れに沿った作品になっていました。
さらに、この作品の中で特殊メイクを担当したのは、あのリック・ベイカーでした。
のちに巨匠と呼ばれるようになる特殊メイクのスペシャリストリック・ベイカーの、若い頃の特殊メイクを見ることができるのが、映画『007 死ぬのは奴らだ』でもありました。