『用心棒』の続編と位置付けられている『椿三十郎』。桑畑三十郎から椿三十郎と名を変えた浪人の侍が、今度は若者たちのために立ち上がります。仲代達矢演じる室戸半兵衛とのラストシーンは衝撃的で一度見たら忘れられないシーンになっています。
『椿三十郎』作品情報
タイトル | 椿三十郎 |
監督 | 黒澤明 |
公開 | 1962年1月1日 |
製作国 | 日本 |
時間 | 1時間36分 |
Rotten Tomatoes
『椿三十郎』あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
椿三十郎vs室戸半兵衛
『椿三十郎』の名シーンといえば最後の三十郎と室戸半兵衛の決闘のシーンでしょう。
何秒も続く二人の沈黙。
一瞬一時停止でも押してしまったかと思っでしまいました。
そして一瞬にして刀を抜く、椿三十郎と室戸半兵衛。
勢いよく飛び出る血しぶき。
モノクロ映画ですか、あの血を赤く感じた人もたくさんいたはずです。
全くセリフのないこのシーンで二人だけの戦い。
長く続いた睨み合いとは違い、刀を抜いてからはすぐに終わるシーンです。
それでもインパクトがありすぎてこのシーンは頭から離れることはありません。
室戸半兵衛を演じた仲代達矢さんは海外のインタビューに、このシーンのことを答えています。
台本にこの決闘シーンの内容は書かれていなかったようですね。
お互いどう出るかわからないまま刀を抜いた二人。
名優二人だからこそできたシーンとも言えます。
「本当に斬られたのでは」と周りは思っていたというほどですから、このシーンの後にうつる若侍九人の顔は、演技ではなかったのかもしれません。
何度見ても本当に素晴らしい決闘シーンだと感じてしまいます。
味のある奥方

出典:IMDb
侍同士の戦いを描く中でお互いが策略を練り、スリルな展開で進むストーリー。
そんな緊張感ある物語を、いい具合でテンポをずらしているのが奥方とその娘です。
特に奥方は勢いのある侍たちをたしなめ、何度も落ち着かせます。
見ているうちに奥方が登場すると何か思白いことがあるのではと感じ、ワクワクしてしまいました。
そんな効果のあった奥方を演じているのは入江たか子さんです。
なんとも言えない物言いと、その雰囲気で殺伐とした空気をほぐします。
奥方にはさすがの椿三十郎も叶わないほどでした。
彼のことを「さやのない刀」と表現したりするあたりは、かなり的確な判断力も持っています。
彼女の存在は『椿三十郎』において音楽と同様に、ポイントになっていました。
音楽は『用心棒』と同じように、映画にリズミカルでコミカルさを与えています。
みんなんで輪になって喜ぶシーンで、一度大声を出した後に静かに喜ぶ若侍たち。
コミカルな音楽が重なることでより一層喜びが伝わるのと、そのシーンの面白さが私たちのツボを付いてきます。
『用心棒』同様に、痛快アクション時代劇になっていました。
まとめ
ラストの決闘シーンが有名な『椿三十郎』。
シリアスな決闘シーンでかなり印象的ですが、物語全体はユーモアに溢れる作品になっています。
『用心棒』と合わせて見ると作品の面白さがより増します。
それと同時に三船敏郎演じる三十郎の心の優しさも伝わってくるでしょう。
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