霧の中に宇宙外生命体が現れ、主人公のデヴィッドは子供とともにスーパーの中に残されてしまいます。安全のはずのスーパーの中でしたが、外には正体不明の生物や巨大な昆虫が現れます。しかしそんな深い霧の中よりも、1番危険だったのスーパーの中でした。恐怖に苛まれた時見せる人間の行動。映画『ミスト』は生き延びるために下したそれぞれの選択の物語です。
『ミスト』作品情報
タイトル | ミスト(The Mist) |
監督 | フランク・ダラボン |
公開 | 2008年5月10日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間6分 |
Rotten Tomatoes

あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
極限状態の人間
深い霧の中でスーパーに取り残されてしまった人たち。
しかも霧の中には正体不明の生物がいるらしい。
これだけで私たち人間はパニックに陥ってしまいます。
それは見えない恐怖によって起こされます。
子供を家に残した女性が「助けて」と言っても誰1人彼女に手を差し伸べません。
主人公のデヴィッドも「子供がいるから」と言って、女性を手伝いません。
スーパーの中にいた人達は自分の身を守ることを第一優先に考えてしまいました。
しかも狭い空間に閉じ込められた人間達はつまらないことで言い争いを。
・職業
・都会暮らし
・田舎の絆
これらのことでスーパーの中は1つにまとまることは一度もありませんでした。
さらに一流弁護士は、その頭の良さからか超自然的な出来事を信じることができません。
「証拠」があっても捏造できると言い張ります。
知識が詰まった彼の頭脳は、科学で証明できないことを否定しました。
そして自分の陣営を連れてスーパーから出て行ってしまいました。
さらに厄介な人物が、熱狂的な宗教信者の女性カーモディでした。
最初みんな彼女のことを変な人扱いしていましたが、死者が出るたびに次第に彼女を信じ始めます。
最初の方でカーモディに殴りかかろうとしていたジムなんて、彼女の1番の信者になってしまいました。
神を信じるはずが、みんなカーモディを信じてしまっているのです。
挙げ句には神と話せると言い出し、生贄が必要だとまで言い出したカーモディ。
しかしみんな普通にそのカーモディの言葉を受け入れてしまいます。
恐怖に直面した時何かにすがりたくなる人間。
それは人間の弱さでもありますが、人間らしさでもあります。
しかしカーモディはそこに漬け込み、やがて自分が神のように勘違いし始め、みんなを間違った方向に導いてしまったのです。
そしてそれに気が付かないほど恐怖を感じている人達は、カーモディを信じることで救われると思い込んでしまったのです。
誰にも否定できない選択
カーモディの信者が増える中、危険を感じたデヴィッドはスーパーから逃げ出します。
そして車に乗り込み、行けるところまで逃げました。
しかしそこまで走っても霧に覆われていて、周囲には宇宙外生命体がうろついています。
やがてガソリンも亡くなり、デヴィッド達は死を選択します。
デヴィッドの息子はデヴィッドに「僕を怪物に殺させないで」と言っていました。
その言葉もあり彼らは怪物に殺されるぐらいなら、自分で死んだほうがマシだという選択をしました。
スーパーから脱出しここまできたことを誰1人後悔していません。
「やれることはやった」と言っていました。
自分が選んだ選択は正しかったと思い、彼らは死んでいきました。
ただしデヴィッド以外。
車の中にいたのは5人でしたが、銃弾は4発しかないのでデヴィッドは別の方法を選びました。
これもある意味彼の選択です。
そしてその選択が彼を生き残らせました。
車から降りたデヴィッドの後ろに戦車が見え軍隊がやってきたのです。
しかも子供を助けに戻った女性は子供と一緒に助けられトラックに乗っていました。
それを見たデヴィッドに絶望しかないでしょう。
ただただ彼は泣き叫んでいました。
「もうちょっと待てば」「スーパーに残っていたら」「あの女性を助けていたら」色んなことがデヴィッドの頭をよぎったことでしょう。
でも彼が選んだ選択は、誰のせいでもなく、誰にも否定できないものなのです。
まとめ
衝撃的なラストと言われている作品『ミスト』。
ラストの展開もそうですし危機的状況での群衆心理など、人間の恐怖が描かれている作品です。
何が正解だったのかは分かりません。
答えがないだけに余計に怖さを感じてしまい、モヤモヤしてしまう作品が『ミスト』でした。