映画『ケープ・フィアー』聖書を元に神と悪魔になった男が下した裁き

1962年に公開された『恐怖の岬』をリメイクした映画『ケープ・フィアー』で監督はマーティン・スコセッシが務めました。主人公マックス・ケイディは自分を神と思い、サムに裁きを下すていきます。旧約聖書ヨブ記の出来事を再現しようとするマックス。ここではヨブ記を通して『ケープ・フィアー』を見ていきたいと思います。

目次

『ケープ・フィアー』作品情報


ケープ・フィアー [Blu-ray]

タイトル ケープ・フィアー(Cape Fear
監督 マーティン・スコセッシ
公開 1991年12月21日
製作国 アメリカ
時間 2時間8分

Rotten Tomatoes

あらすじ

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出所したマックスは、自分を救えなかった弁護士一家に復讐の念を燃やしていた。

彼は徐々に、弁護士の家庭に亀裂を入れていく……。

(出典:https://www.allcinema.net/cinema/6964)

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神となった男

『ケープ・フィアー』で弁護士のサムを追い詰める男マックス。
彼は刑務所に入るまでは文字も読めない男でしたが、14年間の刑務所生活で文字を学び
そして聖書を読みました。

彼の体には
[box class=”yellow_box” title=””]・復讐は我にあり
・時は目前に
・神は信じず
・神は復讐なり
・正念場はこれから[/box]

という新訳聖書から引用された言葉が掘られています。

さらに背中には十字架を天秤にし、「真実」と「正義」が天秤にかけられていました。

マックスは自分が神と同等になり、サムに復讐をしようとしていました。

マックスはサムに向かって「俺は神で神は俺と同格だ!」と17世紀のシレジウスの言葉を叫びました。

マックスはサムの娘ダニーには「裁かずに許すのだ」と言っています。
それは裁くことができるのは神だけだからです。
神でない人間は人を裁かずに人を許すのです。

マックスはそのことをダニーに伝え、人を裁いているサムは間違っていると言いました。

ただマックスは自分を神と同格だと考えているので、彼はサムを裁くことができるのです。

そんなマックスのサムに対する裁き。
それはマックスがサムに言った「ヨブ記を読め」という言葉に示されていました。

旧約聖書のヨブ記

マックスはサムに「ヨブ記を読め」と言います。

それは旧約聖書のヨブ記のことでした。

このヨブ記では神がヨブに与えた試練について書かれています。

神の前に現れた悪魔は「神を敬っているヨブから全てを奪えば、神を呪うに違いない」と言います。
それに対して神は「命以外は好きにして良い」と悪魔に許可を出します。

すると悪魔は次々とヨブの物を奪い始めるのです。
悪魔は財産や子供の命をヨブから奪っていきました。

マックスはこのヨブ記のようにサムから全てのものを奪おうとしていました。
マックスは悪魔となり次々とサムに試練を与えました。
ヨブ記で悪魔が神に権限を与えられたように、マックスは悪魔となち神から与えられた権限でサムを地獄に突き落とそうとしたのでした。

ヨブ記の中ではヨブは「なぜ自分がこんな目に合わなくてはいけないのか」と神に問いかけますが、それでも最後まで神を信じ続けました。

サムは決して信仰が強いわけではありません。
最後にマックスを殺そうとしますが、偶然にもマックスは川に流されていきました。
サムは自分の手でマックスを殺さずにすみました。
そして妻と娘も無事でした。

マックスに問い詰められ自分の罪を告白したサム。
それを神は許したのかもしれません。

マックスはダニーに「地獄を通って初めて天国に到達できる」とも言っていました。
サム達が経験したことはまさしく地獄です。
地獄を通ったから彼らはこそ生きているという天国にたどり着いたのでした。

まとめ

マックスを演じたロバート・デ・ニーロの恐怖が印象に残る作品『ケープ・フィアー』ですが、随所に聖書の内容が散りばめられて作品になっていました。

聖書の内容を理解した上でこの物語を見直すと、また違った視点で作品を楽しむことができるかもしれません。

マックスの言葉1つ1つに、この作品のヒントが隠されています。

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